万年筆とワープロ [PC]
万年筆で書く文章とパソコンのキイで書く文章では、出来あがるものが違うのではないか、と時々思う。
作家で万年筆でないとよう書けないという人がいるのは、ペンで書きながら考え、考えながら文章を作っているのだろう。挿入や削除などをペン先でしながら脳が動き、文章を練り上げるのだ。カット、コピーしてペーストするワープロでもやることはまったく同じだが、ペンと指先と紙による共同作業は脳に独特の刺激を与えるのに違いない。この場合指先も重要な働きをしているのだろう。ペンが走っているリズムが、出来あがる文章に影響を与えずにおかないのはそのせいだ。かくてその作家独特の文体が出来上がるのだ。
ワープロでも同じことだが、間というか、入力のリズムと脳の働き具合というか、それはきっと万年筆の場合と違うだろうと思う。もちろんどちらが良いということでなく、人によるのだろう。
さて、同じワープロ入力でも、ブラインドタッチで入力するのと一本指で入力するのでは、頭に浮かぶ次の文章がおのずから違ってくるように思う。ローマ字入力と日本語直接入力でも微妙な違いがあるような気がする。英語の場合はタイプライターを使っていたころもそうだろうが、話すように文章化しているに違いないので途中でやめて文章を考えるということは少ないのだろうか。入力が単純だから、日本語の文章作成とまた違ったものがあるかも知れぬ。
英語で考えるのと日本語で考えるのでは違うのと同じように、ペンで文章を書くのとワープロで打つのでは違うようだが、自分はこのごろペンで文章を書くのは、面倒である。
ワープロの方が慣れると楽だ。そのせいで考えが浅く出来あがる文章も面白くないのかも知れないとこの頃思いはじめた。おのずと文章も平板になっている。かといって今から万年筆で原稿用紙に戻るのは億劫である。
タグ:ブラインドタッチ
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