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我が至福の時間 [雑感]

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Aカルチャー水彩教室は、西新宿のS(SANKAKU)ビルの4階にある。

「スケッチ淡彩」というのが、通っている水彩画教室の講座名である。かれこれ30年近く続いているというから、このての沢山ある絵画教室でも長寿講座であろう。今の先生は、20年近く担当されておられるO先生、小磯良平門下とのことで新制作協会会員の油彩作家である。

毎週金曜日 朝8時半ごろ家を出て、西武新宿線中井駅で大江戸線に乗り換え都庁前で降りる。
生徒は25名前後。男は60歳でリタイアして始める人が多い。つまり定年後の手すさび。女性の動機は、むろん詳しく聞いたことはない。それとなく聞こえてくる理由は子供が巣立ち、つれあいを亡くし、介護していた親を見送りなどまちまちのようだ。はたからみたら、容易ならざる時代に絵など描いて幸せ者ばかりだと見えるかもしれぬが、皆さんそれぞれご苦労を経験していたり、訳ありの方もおられるのはどの世界も同じこと。男女比は2:3くらいか。

たいてい始まる前O(銀行OB)、M、Hさん(二人とも80すぎ)とお茶を飲んでだべる。話題は、絵の他はどうしても健康、病気の話と昔話。
時にW(證券会社OB)、Sさんらが加わる。昭和10年生れWさんが一番お元気で他の風景画教室にも通い、一人でほぼ毎週スケッチに出かけるとか。 最近胃を切ったというのにである。Oさんはアラナインティ、教室の長老、歳に似合わず力強い良い絵を描かれる。教室一とだれもが認めている。Sさんは中野のアニメ会社の女社長で美校の講師先生。二年ほど前、病気でご主人を亡くされた。年齢不詳。
だべると言っても、余りそれぞれに詮索なしのたわいない話しですぐ絵にかかる。

男性では15年以上教室に通われた80過ぎ のIさんが最近亡くなり、SU(信託銀行OB)さんが高齢を理由にやめられてからすっかり寂しくなってしまった。
女性では川越市から通っていたOK(高校教諭OB)さんが体調不良でやめられた。川越の別の教室でも熱心に水彩の勉強を継続されていると聞く。
しかし、あとに新しい方が入られたのでこのところメンバーも大分変わった。

同年代のSG、SK、Tさんとたまに52 階のイタリアンレストランなどで食事を付き合うが、たいていは自分だけ早めにやめて早帰りする。描く時間は 10 時から1 2時半までの2時間半だが、集中するので心身とも疲れる。それと持病の右胸部疼痛がきついことが、早帰りの理由である。

最近教室の生徒数がやや増えてきて全体に狭い。イーゼルが既に並んでいるのでたいていは、窓際の明るいところを選ぶ。丈の高いイーゼルもあるが、疲れるので低い方で椅子に座って描く。座ると楽だが、時折り離れて見る必要があるのについ面倒で怠りがちだ。

先生はたまにまわって来られて、ひとことふたこと言葉をかけられ、たまには筆を入れて教えて下さる。
先生は2時間半に一枚それなりに仕上げなさいとそのことにこだわる。
時間内に仕上がるかどうかは絵の大きさによるのに、先生はそれを示されない。個人の力量次第ということか。たしかに、短時間に美を捉えんとする水彩の場合は、目安の時間は必要かも知れぬ。
たまにイーゼルを並べて先生が講評をすることがある。風景のときはたいていスケッチの翌週にこれがある。このときも自分は余り先生の話を聞いていない。これでは上達するわけがない。良い生徒とは言えない。

カリキュラムは年度間決まっている。モデルは静物、花が多い。人物は街着や民族衣装のコスチュームなどの女性、たまにクロッキー。気候の良い季節に5,6回御苑など都内で野外教室。風景画はほかに、写真を見て雪景色などを描く練習もある。これはコスト軽減のためか最近多く、手鏡を用意されるだけの自画像などの時間とともに生徒には不評である。

人物など気に入ったモチーフのときは、教室の売店でF10とかB3ワトソン紙を買う。ワトソンは100円だがアルシュは525円と高いのでめったに使わない。
体調不良のときは、F10、B3は大きすぎてきついので普段バッグにいれて持っていくF8のスケッチブックを使う。
家で1人で描くときはまずこんな大きな絵はかく元気がない。せいぜいがF4まで。F10やB3は、教室ならではの大きさである。


12時ごろまでは、皆静かに描いているが、終わりの30分くらいになるとあちこちでおしゃべりの話し声が聞こえてくる。愉しみは絵だけでないと分かる。
家で描いて絵を持ってきて、先生に見て貰う人もいるが、面子は不思議と限られるようだ。どちらかというと自己流から抜けようとしない人もいる。自分がそうだが、年寄りの男性に多い。先生もあまりきついことを仰らない。これが20年以上続いている最大の理由という人もいる。

水彩教室は、はじめる時に水彩など1、2年もやれば飽きるだろうから、その時は別のことをしようと思っていたが、意外と奥が深いうえ一向に上手くならない。それにしても、せいぜい2 ~3 年がいいところだと思うが、変わるのも面倒なので何となく続けることになった。 そのうち体調が悪くなり、健康、元気のバロメーターとして通っていて思いがけず長期になってしまった。
マンネリ化は否めないが、とくに体調不芳になると好きな絵が描けのは奇跡に近いという思いがいや増す。1人で家で描けばよいのだが、これがなかなか難しい。毎週一回教室に行けば辛くとも少しは描く。
教室通いをやめたら絵も描かなくなってしまう、老け込んでしまいそう、だから通うのだと同じようなことを言う高齢の生徒は案外多い。絵は元気の源だと。
自分も、そんなことでお稽古に通うこと、はや八年目となってしまった。いつまで続くかは体調次第、というところである。

何のかんの言いつつも 自分にとっては、疲れはするが好きな絵に没頭できる至福の2時間半である。

 



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