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大江ゆかりの水彩画 [絵]



ノーベル賞作家の大江健三郎は、1935年生まれ、自分より5歳だけ上だから同世代である。同世代だから気になるのは自然の成り行きで、若い時からよく読んだ。
難しいテーマが多い上に、自分には難解な文章でもあるので、充分に理解した良い読者とはとても言えない。ただオキナワやヒロシマについても変わらぬ発言をし続けており、3.11後の原発問題にしても、高齢にかかわらず行動していることには、感服せざるを得ない。

しかし今回は大江健三郎のことではない。夫人の絵の話である。
大江ゆかりさんは、大江健三郎夫人。父は映画監督伊丹万作、映画監督で俳優の伊丹十三の妹さんであることはよく知られているが、いつもそう紹介されたりするのは本人にしてみると、きっといやな時もあるだろうなと思う。もちろん作家を支える内助や2男1女の母親としての仕事もありますが、私は私と。

ゆかり夫人は良い水彩画を描く。次の大江健三郎の本や共著に挿画を描いているので見ることが出来る。
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「恢復する家族」(大江ゆかり画)講談社、1995年
「ゆるやかな絆」(大江ゆかり画)講談社、1996年
「自分の木」の下で(大江ゆかり画)朝日新聞社、2001年
「新しい人」の方へ(大江ゆかり画)朝日新聞社、2003年

優しい線と色調の絵である。本人は、文中、自己流と謙遜するが、ファンも多いと見た。

彼女の猫の絵が良い。気に入っていて時々眺める。
自分は水彩画の練習をしているので、飼っている猫をモデルにその可愛さを表現できないかと良くチャレンジするが、なかなかうまくいかない。
写実的に描こうとすると、猫は目が幾分つり上がっているので、どうしても怖い顔になる。何よりじっとしていないので、時間をかける写生はもとより無理である。寝ている時の姿を写生するしかない。すると皆同じような眠り猫になってしまう。
山ほどの枚数のデジカメ写真を撮影して、それを見て描いているが生き生きとした絵にならない。
可愛さを強調しようとすれば漫画の猫のようになってしまう。

大江ゆかりの猫は、よく見て描いているなと感心する。猫が好きなのであろう。多分自宅で飼い、その猫を毎日見ている絵だと思う。たしかに猫はこういう仕草をする。しかし、なかなかこうは描けないものであることは、やって見るとよくわかる。

大江ゆかりに限らず、とくに猫好きはよく猫を描く。何やら超俗した目つきや、謎めいたふるまいが魅力的で絵になりそうに思うのである。
藤田嗣治の猫は、あまりも有名。そして、長谷川潾二郎の6年をかけて描いたという猫も。

立派な絵でなくともいいのだが、部屋に飾って眺めたいような絵が描ける時が、果たしていつの日か来るだろうかと思うと心許無い。


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