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柳澤桂子のホームページ [雑感]

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有名人の公式ブログやウェブサイトというのは、殆ど見ることがないが、「利己的な遺伝子に乗って生きる」(24.5.30)を書いた時に必要があって、柳澤桂子が平成21年に70歳のときに始めた「いのちの窓」と題するホームページを見た。



サイト開設の挨拶などを読んで、二つのことを考えた。

なお、有名人といえ、現在活躍中の方を敬称なしで名前を書くのは、この方に限らずどこかこころに引っかかるものがあるものだが、乞うご容赦。

柳澤 桂子(やなぎさわけいこ)は、東京都出身の生命科学者、サイエンスライター、エッセイスト、歌人。
1969年ころ原因不明の難病を発病するが、奇跡的に回復。病気と闘いながら、一般の人にも理解しやすい生命科学の本を書き、医療問題、環境問題にも関心を持ち、「いのち全体」について書くようになる。近年では、般若心経新訳が話題になっている。

まずさすがと、驚き感心させられたことから。
サイエンスライターは、HP開設の挨拶で次のように書いている。
「また、脱炭素社会に向けて、原子力発電が有用性を増してきましたが、原子力は絶対に使ってはならないものと思います。原子力発電からでる廃棄物だけについても、私たちは処理の仕方を知りません。この大きな問題を後世の人たちに押しつけて、私たちは現在を楽しもうとしているのです。原子力発電には、危険がつきまといます。
チェルノブイリの事故で、私たちはその恐ろしさを十分に知ったはずです。脱炭素社会で、原子力発電で得た電氣をふんだんに使うという考えは、ぜひやめていただきたいと思います」
2009年9月だから、3.11フクシマの事故の2年ほど前の発言である。
こういうことを話してくれた人のことを、言葉を、自分はどれだけ心に止めただろうか。

さて、もう一つのこと。
「いのちの随想」に「ブログも書いていたが忙しいのでやめてHPだけにした」とあった。
「それまでも感じていたことですが、年をとるとともに文章の構成力が落ちていきます。70歳になったら執筆活動をやめようと思っていました。けれども、この世を去る前に日本や世界を平和で幸せなところにするために、 若い方たちとお話をする場がほしいと思いました。そして、ホーム・ページが適していると思い、ここに作りました。」

HPを作る目的は、この世を幸せにするため、自分が世を去る前に若い人と話をしたいと言われる。我が老懶暮らしの浅はかさに比べて感心するばかりであるが、それはさておくこととする。

上記の文の中の「年をとるとともに文章の構成力が落ちていきます。70歳になったら執筆活動をやめようと思っていました」と言っているところに、これも我が身にてらして大変気になった。

彼女は昭和13年生まれ74歳、自然年齢は自分より二つ歳上である。女性は寿命から見るに男より10歳ほど心身とも若いというのが、通説というと誤解が生ずるのであれば、俗説である。とすれば、彼女は自分より8歳年下ということになる。
「いのちと環境 人類は生き残れるか」を2011年に書いており、まだ若くて活躍中でしかも頭脳明晰な才女が、70歳で文章の構成力が落ちて来たと自覚したということにびっくりしたのである。

自分は文章の構成などに意を配していないから、構成力の強弱についてはものいう資格はないし、優れたサイエンスライターとは比べるのも烏滸がましいが、気持ちとしてはよく分かる。人によって自覚の仕方や内容に差はあるが、70歳というのは多分そういう年齢なのかもしれない。

自分の場合は、低レベルの話になるが、文章を書いていて言葉が出て来なくなってきているのだ。あぁ、ここに使うべき適切な言葉があったのだが、どうしても思い出せない、という情けないことがしばしばある。

折から、良い絵を描くかつての職場の大先輩が80歳になってしんどいのでと言われ、この5月にブログ閉鎖宣言をされた。
わが敬愛する先輩は、ガラス絵協会の元会長であるが、2008年1月 76歳のときに、ガラス絵普及の一助になればとHPの作り方を勉強して「ガラス絵ミニ講座」なるHPを開設した。76の手習いである。
同時に、先輩と仲間の絵の紹介を、軽妙洒脱なエッセイ文とともに掲載するブログも始められた。だから、自分はガラス絵はやらなかったが、先輩のブログを4年あまり楽しませて貰ったことになる。今回やめられてしまい、もう読めなくなってすっかり淋しくなった。

にわかに自分もこんな健康状態と頭脳の老化進行では、12年近く続けたホームページと平成20年68歳で始めて4年になるブログを、いつまで書くことが出来るやら急に心細くなってきた。
いまブログは、寝転がりながら iPadで書いてアプリを使ってPCを使わずアップするなど省力化してはいるが、原稿保存などもあり、まったくPCなしというわけにもいかない。かなり負担になりつつある。

ツイッターの方が簡単なようだが、140字の短文で我が意を人に伝えることなど、わが筆力ではとてもではないが自信がない。

何か良い方法がないものか。
何でもいいから、音声認識、自動推敲、自動アップロード、自動保存をセットにした無料老人用アプリを作ってくれる有能な御仁はおられないか。

これが出来れば、忙しくてやめてしまったという柳澤桂子女史のブログも読め、我が先輩もまだまだ書き続けられたかもしれない。

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などと とならないように、健康に注意してなんとかもう少し続けたいものと願っているのだ。


(これを書いたとき、URLも記していたが 現在、残念ながら、今柳澤さんのHPを見ることが出来なくなっている。理由は不明である。平成29年4月25日)
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上条茜

初めまして。柳澤桂子さんと福島智さんの対談番組を見て、柳澤さんのブログを検索し、こちらへたどり着きましたが、この記事でリンクなさっているhttp://www.yanagisawa〜が、リンク切れ?あまり芳しくないページに飛んでしまっていることを、多分ご存知ないのではないかと思い、僭越ながらお知らせ申し上げます。
「いのちの窓」は、現在、アーカイブとして登録されているようです。
(私のツイッターアカウントは @akanetwit です)
by 上条茜 (2017-04-23 20:00) 

wakizaka

上条様 ご指摘ありがとうございました。まったく知りませんでした。
素晴らしいHPだったのに残念です。
こういうときの対処はどうするのが一番良いのか、にわかに決めかねて思案しています。
いずれにしてもご親切あらためてお礼申し上げます。
by wakizaka (2017-04-25 18:30) 

高野実

もう一度 そして出合いと接触 生きることの尊さを知る 色即是空 空即是色
by 高野実 (2017-06-17 11:08) 

梁川智子

はじめまして。
私は、京都にあるちいさな出版社に勤務しております。
このたび、弊社から刊行予定の本に、柳澤さんの著書『生命の不思議』の一部を引用させていただきたく、集英社に問い合わせたところ、著作権が移行しているとお伺いしました。
突然で恐縮なのですが、引用させていただけないでしょうか。
刊行予定の本は、著者が大学で文章表現を教えていらっしゃるのですが、教える際に使える本ということで企画されました。
著者が、柳澤さんのこの本がすごくお好きで、文章を要約させるという課題の章で使用できればと考えております。
突然に、無理なお願いをします。連絡を取りたいのですが、連絡先がわからず、こちらにコメントさせて頂きました。
もし可能でしたら、弊社までお電話を頂けないでしょうか。
ケイエスティープロダクション 梁川智子
会社の電話 075-708-5304
tomoko-yanagawa@kst-production
です。今コロナ禍で在宅勤務が多いのですが、連作先を教えて頂きましたら、こちらから連絡させていただきます。
ぶしつけなお願いで申し訳ございません。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
by 梁川智子 (2021-03-02 13:16) 

渡邉 建

御著『いのちと環境』が、ふと、出てきたので再読してゐるところです。
by 渡邉 建 (2023-04-17 08:09) 

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