SSブログ

漫画と水彩画 [絵]

image-20120722114753.png

手塚治虫は、漫画は記号であるという。例えば丸を書き中に二つの黒い点を書けば、誰でも人の顔とわかると説明している。さらにその下に横戦を書き込み上に曲げれば笑顔、下向きに曲げれば泣き顔となる。雫のような涙も、走る人の脚の後ろの煙も、セリフの吹き出しも記号だという。だから、絵を学ばなくともストーリーがあれば誰にでも漫画は描けるという。本人も小さい時から漫画ばかり描き、デッサンなどを学んだことは無いだろうから実感に違いない。
たしかに子供でも漫画は描ける。漫画の大衆性や国際性は、このことと関係があるのだろう。

そこで考えるのは、絵と漫画はどう違うのかということであり、絵とは何かということである。漫画、イラストと絵の違いは何か。イラストも漫画に似て記号のようなものだが、水彩画、油彩画に記号はないのか。写真はどうか。
風景画に点景として例えば人を入れる、後ろ向きであったり、ベンチに座っていたりすると何やら記号のように意味を発信する。絵は記号でもある。
ピカソやムンクには、記号にあふれた名画がある。モジリアニの首の長い女の絵やロートレックのポスターも漫画的だ。
ロイ・リキテンスタインの「ヘヤ リボンの女」などは、「漫画みたいな絵に6億円も出して」と物議を醸した。あれは絵か漫画か。
浮世絵も線で描かれ、漫画やイラストに近いとも言える。デフォルメした似顔絵などは漫画か絵か。また挿絵でも、写実的なものもあるが、村上豊のように漫画に近いようなものもある。
かたや漫画の方は、コマがあり吹き出しにセリフがあるの特徴だが、セリフの無い一コマ漫画もある。新聞の政治戯評などに多いが、あれはかなり絵に近いのではと思う。
そういえば漫画アニメの背景などは、それだけ取り出してみると、まさに絵だ。

自分はカルチャーで絵を習っている。「淡彩スケッチ」という水彩画であって、漫画を習っているのではない。
しかし我が水彩画はどうも漫画の雰囲気があるような気がしてならない。鉛筆淡彩やペン淡彩は特に漫画的である。子供の時から漫画を読み、ときには真似て漫画のいたずら書きをしたことが影響しているのではないかと訝る。
水彩画を習い8年が過ぎようとしているが、いっこうに上達しないのは、どうもこのことと関係がありそうな気がする。
「絵を学ばなくとも漫画は描ける」というときの、「絵を学ぶ」ということは一体何か。
水彩画教室ではデッサン、遠近法、明暗、色相などを学ぶが、これは間違いなく油絵はもちろんのこと漫画を描く場合でも、役に立つことではある。

解りやすい記号を持った絵が漫画で、やや解りにくい記号を持った絵が絵(?)か。抽象画は人により解釈の異なる記号(?)を持った絵か。

写真、絵、漫画、絵本、絵物語は表現型式が異なるだけで、皆何かしらの記号を持っていて何かを発信しているように思える。絵か漫画かなどとこだわるのがおかしいのか。どうも絵も漫画も、まだ良く解っていないことだけは確かである。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。