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何だか変だぞわが水彩画 [絵]

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水彩画カルチャー歴8年余になる。
いっこうに上達しない。鉛筆の線はどうするのかという基本的な問題もいまだ解決していない。「何だか変だぞ、わが水彩」という気持が8年余拭い去らないのだ。

最近、参考になるかなと、ユーチューブで海外の水彩画家によるデモンストレーションを見ている。( Dusan Djukaric, Fabio Cembranelli、Alvaro Castagnet、Omer Muz、Joseph Zbukvic、 Direk Kingnok、Emil Noldeなど)

彼らの水彩画は、殆ど鉛筆をあたりをつけるくらいにしか使わないのが多いようだ。輪郭線は、むしろそれに引きずられるとして、最小限に抑える。まさに水と透明水彩絵具が主役。にじみ、ぼかし、垂らしこみ、マスキング、スパッタリングなどを多用する。手法もポジィテブペインティングよりネガティブ(薄く描いたあと濃く描く)が基本。
線は、仕上げるころ細い筆や平筆(!)を巧みに使う。光と影を描くことを目指すのに違いはないけれど、空間、空気を重視し余白を大事にする。
何より楽しげに描いているのは、皆共通している。
どちらかといえば、感覚的に水墨画や南画に近いのだろう。実際、中国やベトナムの画家も良い水彩画を描いている。

わが国では、これまでどちらかといえば「線画に淡彩」が主流だったと思う。
鉛筆は使うなとした長沢節などは少数派ではなかったか。
http://toshiro5.blog.so-net.ne.jp/2012-11-17
わがカルチャーで教えるのも、鉛筆でデッサンしその上に彩色する。長沢節の嫌った色付きデッサンである。
時々自分の絵を「ぬりえ」だなと、我ながら思うことがあるが、あれだ。
いつから水彩画が「線画淡彩」となったか。鉛筆淡彩の代表格の安野光雅(1926-)の絵が、鉛筆の線をあまり強調しない、いわさきちひろ(1918-1974)の絵より人気が出てきた頃か。
油彩が中心であり、水彩はその下描きスケッチ用だとする風潮も影響しているだろう。いずれにしても線画で淡彩の時代が長く続いてきたように思う。
むろん水彩画展などにいくと、油彩かと見まごうほど描き込んだ絵もあるから、そう単純なものでなく、自分の理解は間違っているかもしれないが。

ネットで水彩画家のブログなどを見ていると、最近わが国でも海外の水彩画の影響を受けたのか、線画淡彩から脱却しようとする動きが顕著のようだ。
画家が変わろうとしていることもあるが、背景には、鑑賞者がそれを欲しているからだろう。
女性に圧倒的な人気の永山裕子氏(1963-)の絵を見るとそれがよく分かる。線は色の案内役で重きをおかず、最初から出来上がりのイメージを持ち たっぷりと水を使って描いている。もちろん途中偶然が作ってくれる思わぬ効果も愉しみつつ。
確かにデッサンという輪郭は強烈であり、淡彩をほどこしただけでは水彩の良さが出ず、自由な絵から程遠いものに終わってしまう気もする。

さて、大家のあとに自分の絵のことを書くのは、なにやら烏滸がましく恥ずかしいが、自分の絵は、どちらかといえば「線画淡彩」である。それも鉛筆などで強い線でしっかりと描きあげてから、色をつける。着彩後さらに鉛筆で輪郭をなぞることさえある。先生もそれを容認される。
鉛筆の代わりに水性のペンを使い、その上から着彩することも多い。これも典型的な線画淡彩であろう。先生は本業油彩だが、水彩はほとんどこのペン淡彩である。
なにせわがカルチャーは「淡彩スケッチ」というのが講座名である。
自分はこの線画淡彩をやっているから、固定観念にとらわれて、なかなか上達しないのかもしれぬという気もする。

自分の絵は、線画淡彩だから当然海外を含めて、最近の水彩画とは大きく異なる。二つは、別物と言って良いくらいだ。
しかし、今から自分の絵を変えることは、きっと不可能であろう。
マラソンランナーが短距離選手に、なろうとするようなものだろう。あるいはサッカー選手が野球選手になるようなものか。自分の絵を100%否定しないと出来ないような気がする。さすれば、70歳を過ぎた頑迷固陋の生徒には、無理というものである。

とはいうものの、習い始めた時から鉛筆の線の処理が気になっていたので、海外の水彩や最近の水彩画の流れはよく理解できる。確かに漫画やイラストではないのだから、「輪郭線」にこだわることはないのだとも思うからである。
だから、一度は挑戦してみたい気はする。やってみると8年余になるカルチャーで培ったものがすべて消滅し、自分らしさが無くなる、つまり自分の絵を見失うことになるかもしれないという懸念もある。いっぽうでだめでもともとだ、とも思う。
これで今ゆらゆら揺れている。
なお、掲載の絵は、この夏、鉛筆を使わずに描いてみたものである。新宿御苑の葉桜。



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