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バルトルト・ヨンキントの水彩画 [絵]

ヨハン・バルトルト・ヨンキント(Johan Barthold Jongkind, 1819- 1891)は、オランダの画家、版画家。印象派を代表するクロード・モネに影響を及ぼした印象主義の先駆者とされる。
1862年頃にウジューネ・ブーダンを通じてクロード・モネと出会い、戸外での風景画制作について直接指導を行なったとされ、モネはヨンキントを「師匠」と呼んだという。
ブーダン、モネ、ヨンキントにはそれぞれ「空の王者」、「光の画家」、「夜の画家」なる別称があるのが面白い。
ヨンキントは青年期に学んだ的確なデッサン力や構図法、ハーグ派などのオランダ風景画の伝統に、外光を巧みに取り入れた明るい色調と大胆なタッチを併せて、独自の緻密さをもった作風を作りだした。乱れのない、落ち着いた画風が特徴である。
油彩には月明かりの夜の風景画があることから、「夜の画家」と呼ばれる。夜の水彩画もあるかと探したが見つからなかった。油彩ならともかく、プロでも水彩の夜景は難しいのか。

1863年以降に制作されたヨンキントの一連の作品を評して、のちに理論家のポール・シニャックは「この世で最も素晴らしい水彩」と述べたという。ミッシェル・クラーク著「水彩画の技法」( 荒川裕子訳 同朋社出版 1994ビジュアル美術館 第7巻)。

関連記事 ポール・シニャックの水彩画
http://toshiro5.blog.so-net.ne.jp/2013-10-22

また、詩人シャルル・ボードレール(1821-67「悪の華、パリの憂鬱」)や自然主義文学のエミール・ゾラ(1840-1902「居酒屋、ナナ」)からも称賛を浴びたが、アルコール依存症とうつ病に悩み、移住したフランス イゼール県 ラ・コート=サン=タンドレで死去した。72歳。

シニャックのいうこの世で最も素晴らしいという、1863年(43歳)から没年1891年(72歳)までのヨンキントの水彩画を、(ほぼ)制作年順に並べた。

image-20140120140431.png

「The Banks of the Isere イゼールの堤」(1863 水彩)
「Honfleur ,Market Place オンフルール 市場 」(1864 水彩 グラファイト )オンフルールは仏ノルマンディー 。ウジューネ・ブーダンの生地。絵の大きさは不明。
「The Church of Saint-Catherine ,Honfleur サンーカトリーヌ教会、オンフルール」(1864 水彩)36×43cm。
「View of Clamart クラマールの眺め」(1864 水彩)クラマール (Clamart)は、仏、イル=ド=フランス地域圏。

「The Market Place at Saint-Catherine ,Honfleur サンカトリーヌの市場、オンフルール 」(1865 油彩)42×66cm。1864年に描いた2枚と同じ市場を1年後に油彩で描いているので並べた。
「The Quai de Bercy ケ・ド・ベルシー 」(1865水彩 黒チョーク)
「A Landing Stage on the Escaut エスコーの船着場」(1866 水彩)
「A Canal in The Hague ハーグの運河」(1868 水彩)
「 The Diligence from Grenoble to Sassenage グルノーブルからデューデリジェンス」(1875 水彩)
「The River Isere at Grenoble グルノーブルのイゼール川」(1877 水彩)
「Autoportrait sous le soleil 太陽の下の自画像」制作年不明。野外スケッチのいでたちが面白い。

image-20140120140451.png

「The St.Andre Coast,Isere サンタンドレ海岸 、イゼール 」(1880 水彩とグヮッシュ)
「A Cherry Tree 桜の木 」(1881 水彩 チャコール クレヨン)
「The Village 村」(1883 水彩 チャコール グレイペーパー)
「Hitch of Bulls on the Road 道路に繋がれた牛 」(1889 水彩 グヮッシュ チャコール)
「コートサンタンドレ近くの風景 」(1880 水彩 ボディカラー 黒チョーク)
「Peasants Returning to the Farm 農場から帰る農夫」(1891水彩)
「Port Vendres ベンダー 港 」(Date Unknown 水彩)
「View of Faubourg Saint-Jacques フォーブール サンジャックの眺め」(Date Unknown 水彩)
「Canal in the Moonlight 月光の運河」(1868 油彩)夜の画家の傑作を一枚だけ。

ヨンキントの絵を見ると、風景にしてもピタリと四角の中におさまり、乱調でなくまさしく階調の美。とても酔いどれで、かつ神経症を病んだ画家とは思えない。
水彩画にしても、高年になるほど少し濃くなるようにも見えるが、大きな変化もなく破綻のない仕上がり。アマチュアの自分にもおおいに参考になる。

参考までにあと何枚か。制作年、原題不明につき題名など不正確ながら。

image-20140120140522.png

「ロッテルダムのミル」
「手にバスケットを持つ二人の女性」
「崖とエトルタのビーチの眺め」
「タンバリンダンサー」
「ビーチ」
「漁船」
「ウルク川の運河」
「セーヌ川の河口にあるツリー」(1864)
「コー​​ト=サンタンドレ勤勉」
「運河のはしけ」
「Overschie専用オランドの村」


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