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カルロス・シュワーべの水彩画 [絵]

カルロス・シュワーべ(Carlos Schwabe 1866-1927 )は、ドイツ北部アルトナ生れ。 画家としての活動拠点はフランスに置き、仏イル・ド・フランスで没した。61歳。
幼くしてスイス・ジュネーヴに移り住み、美術学校に入学する。ジョゼフ・ミッティに師事してバルビゾン派の自然主義に影響を受けた絵を描く。
 1890年、パリに出て壁紙図案の仕事をするかたわら、ロマン主義に傾倒する。アルフレッド・デューラーに憧れて緻密な細部表現を身につけ、ラファエロ前派のように神話や寓意を主題にし、華麗で幻想的な作風の象徴主義絵画を描くようになる。
画風こそ異なるがギュスターブ・モロー(1826-98)を彷彿させる神秘的な絵を描いた。 1900年、 ボードレール「悪の華」に挿画を描く。ほかにもモーリス・メーテルリンク、ステファン・マラルメの詩に挿画を描く。水彩画のほか銅版画や木版画、石版画も手がける。

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「The Virgin of the Lilies 百合の聖母」(1899水彩 97cm×47cm) 国立ヴァン・ゴッホ美術館蔵(オランダ)
代表作。中世の宗教画に似ているが、むろん明らかに異なる。シュワーべの独創性が掛け軸のような縦長の構図、逆光と影の扱い、東洋的な雲の描写、アールヌーボー的な枠組み、螺旋階段の手摺のような百合の装飾的な配列など随所に見られる。おのずと主役の聖母子に目がいく仕掛けが施されているようだ。ジャポニズムの影響を強く受けているとされる。

「マダムX」で有名なジョン・シンガー・サージェント(1856-1925)に油彩画であるが「カーネーション、リリー、リリー、ローズ(1885-87年 テート・ギャラリー蔵)」と題名もちょっと変わった絵がある。
当時日本から輸出されていた盆提灯がいくつも描かれ、咲いているユリは日本から球根が輸出されていたヤマユリ。当時のヨーロッパ画壇を席巻していたジャポニスムの影響がうかがわれる絵だが、ふとこれを想い起した。

関連記事 ジョン・シンガー・サージェントの水彩画
http://toshiro5.blog.so-net.ne.jp/2013-04-09-1

他に似たような聖母の絵2枚。
「La vierge aux lys 百合の聖母」

「La Vierge aux colombes 鳩と聖母」 (1895)

「死と墓掘り人 (1)、(2)」
これも有名な絵。一枚は墓堀人がいない。死んだのは誰か。枝垂れ柳と天使の翼の線が流れるようだ。どんな筆を使ったのだろうか。天使の首と右の手のひらについている緑の明かり?が意味ありげ。一度見たら忘れられない謎めいている絵である。

「題名不詳(ポルトガル語 - 脾臓Etは理想、とあるけれど意味不明)」波が北斎の絵のようだ。海底にはドラゴンの尾らしきもの。

「PorträtデアTochter」普通の肖像画のように見えるが。

「エリージャン·フィールズ」構図といい、人物の衣装といい不思議な絵だ。題名も意味が解らない。

カルロス・シュワーベの絵は、モローの絵もそうだが、とてもアマチュアの参考にならない。テーマも解りにくいが、表現法も特殊な技法が使われているのだろう。しかもそれを身につけるのは相当の熟練を要するかに見える。
彼らの想念から生まれた現実にはなさそうな不思議な対象も、写実の積み重ねがあって、形を変えて幻想的に出来上がっていくのだろうが、その過程を追うことは不可能だ。
それにしても、こんな表現が出来る水彩絵の具とは、まことに不思議なマテリアルだとつくづく思う。
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