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線画水彩からの転向 [絵]

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このブログで「何だか変だぞわが水彩」を書いたのは2012年12月。水彩を習い始めてから8年余も過ぎてしまっていた。それから4年余が過ぎたので、ここで少し反省しておこうと思う。
「何だか変だぞわが水彩」 http://toshiro5.blog.so-net.ne.jp/2012-12-12

「何だか変だぞ」ではこう書いた。
「自分の絵は、線画淡彩だから当然海外を含めて、最近の水彩画とは大きく異なる。二つは、別物と言って良いくらいだ。
しかし、今から自分の絵を変えることは、きっと不可能であろう。
マラソンランナーが短距離選手に、なろうとするようなものだろう。あるいはサッカー選手が野球選手になるようなものか。自分の絵を100%否定しないと出来ないような気がする。さすれば、70歳を過ぎた頑迷固陋の生徒には、無理というものである。
とはいうものの、習い始めた時から鉛筆の線の処理が気になっていたので、海外の水彩や最近の水彩画の流れはよく理解できる。確かに漫画やイラストではないのだから、「輪郭線」にこだわることはないのだとも思うからである。
だから、一度は挑戦してみたい気はする。やってみると8年余になるカルチャーで培ったものがすべて消滅し、自分らしさが無くなる、つまり自分の絵を見失うことになるかもしれないという懸念もある。いっぽうでだめでもともとだ、とも思う。
これで今ゆらゆら揺れている。
なお、掲載の絵は、この夏、鉛筆を使わずに描いてみたものである。新宿御苑の葉桜。」

わが教室は週一回 、講座名は「淡彩スケッチ」である。
これを描いたあと、教室でも線画水彩からの脱却を意識するようになり、ネットで調べて色々な技法を試すようになる。教室は10年経ったところでやめた。
白の塗り残し、滲み、ボカシ、スパッタリングは、教室で先生も教えるが、ネガティヴペインティング、マスキング、ソルトペインティング、流し込み、リフティングなどはもちろんファーストウオッシュの上から描き進める技術なども教えない。
先生は本業は油彩画家であり、水彩はペンの線画である。基本的には着彩デッサンであくまで本制作のための下絵、エスキースであろう。
デッサンをしっかり鉛筆で描いた上に着彩するという基本は崩さない。影はもっぱら立体感を出すため、対象を前に出すためにつけると教える。
なかでも際立つのはマスキング技法である。先生は一切使わず生徒(私のこと)が使っていても何もおっしゃらない。たぶん反対なのであろうと推測した。

先月11月ネットで次のような記事を見つけた。書いたのは水彩画のプロで教室の主宰者である。
「例えば、鉛筆できっちり描いて淡彩で仕上げるような絵のスタイルから入った人が10年でそのスタイルを会得したとします。 さて、ステップ2として本格的なニジミ・ボカシを多用した絵を目指そう… と。
それはとてもたいへんなことだと思います。バスケのスーパースター、マイケル・ジョーダンがベースボールのメジャーリーグに転向するようなものです。」

私の場合は、線で描き淡彩で仕上げる絵のスタイルを「会得」したわけでは無く、フルレンジの本格的水彩画を目指しているわけでもないので、転向とはおおげさ、ちょっと当てはまらない。まぁ、色つきデッサンからの脱却程度だが、その困難さを自分でも予知していたことが分かる。
たしかにバスケのプロが野球のMLで活躍するのはほぼ不可能であろう。
ソフトから陸上選手になったオリンピアンがいたが、あれも大変な例外だろうと思う。

さて、何だか変だぞと気がついて修正を試みているこの4年間のことである。
まずは、最初に単発の水彩画講座でマスキング技法を習った。まだ週一の教室に通っているうちのことで「10年目の浮気」である。それまで他の先生の水彩を見たこともなかった。
参考記事「10年目の浮気」
http://toshiro5.blog.so-net.ne.jp/2013-12-02
マスキングは嫌う人もいるが、白の塗り残しの省力化に価値がある。根気のうすれた年寄りに有難い技法である。また、光やハイライトを見つけるのにおおいに役立つ。

ネガティヴペインティングについては、自分はこれまではほとんどポジティブペインティングだったとわかる。表現法の幅が広くなったような気もする。
リフティングは透明水彩でも1回くらいならやり直しが効くこと、流し込みやソルトペインティングでは、水の大事さとそれがもたらしてくれる偶発的な変化の面白さを学んだように思う。
何度かプロのデモンストレーションも見たので、手順や仕上げの大事さも再確認した。これはやる人は大変だろうが、学ぶものには有難い。百聞は一見に如かずである。
皆んな、固定観念にとらわれず自由に何でも試しているのにあらためて驚く。

また、この間パステルや不透明水彩なども試みたのは、より透明水彩の特質を知る上でたぶん役に立ったように思う。

むろんまだまだ線画水彩からの脱却に成功してはいないが、何より、まだ楽しみつつの「修正」を投げ出さずに続けていられるのは、幸いと言うしかない。
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