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白鷺山南蔵院 [随想]

 


福藏院正幡寺の所在地は中野区白鷺1丁目になる。近隣の地名が井草、沼袋、阿佐ヶ谷、荻窪など谷や低地を現しているので分かるようにこの地は川、湿地が多い。昔から白鷺が多く棲み飛んでいたのであろう、寺の山号を白鷺山(しらさぎさん)とつけたという。


鷺宮地区は発展して広くなり、1965(昭和40)年の住居表示施行により鷺宮、上鷺宮、白鷺に分かれた。自分が住んでいる白鷺(しらさぎ)という字名はこの山号に由来する。


 


福蔵院は真言宗豊山(ぶざん)派。宗祖空海弘法大師。総本山奈良の長谷寺。東京では西新井大師(總持寺が総本山、有名なのは護国寺などがある。宗紋輪違いとか。


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福藏院は西武新宿線鷺ノ宮駅(駅名は何故か「ノ」が入る)のすぐ近く、妙正寺川のほとりの閑静な住宅街の中にある。


隣接して鷺宮八幡神社があり、明治の神仏分離までは福蔵院が別当を務めていたという。つまり寺はいわゆる神宮寺で神社の運営管理をしていた。


開山の頼珍法印が大永元年(1521に亡くなっているので、「新編武蔵風土記稿」では文亀・永正(150121)の頃の創建と推測されている。東京の最古の寺は金龍山浅草寺(628)というから、それに比較すればさして古寺ではない。


 


本殿の屋根に太陽光発電パネルがある。景観を損ねるという人と、合理的でかつ屋根のデザインにフィットしてなかなか良い、という意見とに分かれるようだ。たしかに言われるまで屋根にそれがあるとは気がつかなかった。


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庭が綺麗に整備されて庭木の手入れが行き届いて、敷甃も端正。


 


寺の庭には桜、ヤマモミジや柿、木斛、花梨、槇、石楠花などが植えられ四季を通じて表情を変える。なかでも樹齢350年というヤマモミジには圧倒される。


今年の春は、3月中旬の開花、二分咲きのころから41日〜8日の花祭りを経て花冷えの時期、落花に至るまでの桜、その後の木々の新緑とたっぷり寺の庭を散策して楽しませて貰った。


 


ある時、立派な常緑樹を指して庭師に、この木は車輪梅ですかと聞くと木斛(モッコク)との答え。怖そうな職人さんだったので、それ以上聞くのが憚れたからネットで調べた。


「モッコク(木斛)は、モッコク科モッコク属の常緑高木。別名でイイクともよばれる。江戸五木の一つ。モチノキやマツと並び「庭木の王」と称される。


江戸五木(えどごぼく)とは、江戸時代に江戸で重視された造園木で


①モッコク 木斛


②アカマツ 別名雌松 女松 (クロマツが雄松 男松)


③イトヒバ サワラ椹の変種。(サワラは檜に似た木)


④カヤ 榧


⑤イヌマキ 犬槇 」とあった。


 他の寺でも同様だろうが、ここには江戸五木や庭木の王が殆んど植栽されているに違いない。


寺の鐘楼も立姿が優雅な趣き。桜の季節には一層引き立つ。


 


本堂のソーラーパネル花曇り 


鐘楼の腰に花散る古刹かな


新品の地蔵前掛け花まつり 


 


山門の近くに都内には珍しい立像の「十三仏の石仏」がある。


立札をグーグル検索(テキスト)すると次のとおり。少し長い引用になるが。


 


ここにならぶ仏菩薩が十三仏です。 右から不動明王(初七日釈迦如来(二七日文殊菩薩(三七日普賢菩薩 (四七日地蔵菩薩(五七日弥勒菩薩( 七日薬師如来 (七七日観世音菩薩(百か日勢  至菩薩(一周忌阿弥陀如来(三回忌閦如来(あしゅく七 回忌大日如来 (十三回忌虚空蔵菩薩 (三十三回 です。 この十三の仏菩薩は、死後の忌日をつか さどるもので、冥界で生前の審判を受ける死者の救 済を願ってまつられたものです。このように自他の供養がまとめて修められることから、室町時代以降、 民間で広く信仰されました。


銘によれば、八体は、寛文六年(一六六六)の大 日如来像を最古として、貞享二年(一六八五)の普 賢菩薩像に至る十九年間に造立され、あとの五体は 破損したものとみえ、現存のものは百余年後の寛政 八年(一七九六)に真言講中の二十七人によって再 建されたものです。


このように石像で十三体そろったものは都内でも めずらしく、他の石仏と同様、江戸時代後期の日常 生活に深く根づいていた庶民信仰の現われといえま しょう。


            昭和五十六年三月  中野区教育委員会」


 


花冷えや地蔵の前掛け寸足らず


十三仏涎前掛け花衣


蓮華坐に桜蘂降る十三仏


 


 


 


 


 


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