川柳雑感 この句何?川柳擬き含笑句 [川柳]
平成16年(2004)に書いた川柳に関する自分の文章がある。
「このさきを考へている豆のつる 雉子郎(吉川英治)
うまいなと思う。
川柳は人の作ったものを読むほうが好きだ。自分で作るのは苦手。
時事句などは、あとで読んでも何のことやらわからないことが多い。
酒とろりおもむろに世ははなれゆく
身の底の底に火がつく冬の酒 川上三太郎
これも、「うまい!」と思わず声を出したくなる。
おかしいがどこかペーソスみたいなものがあるのが、並みのものと違う。
背くらべ手を和らかにさげてゐる
どっかりと寄る浪人の年 二句とも武玉川である。
難しい誹風柳樽よりこちらの方が読んでいていいなあと思う。
長い時を隔てても今に生きている感じがある。
上燗屋へいへいとさからわず 當百
関西の岸本水府なども独特の味があっていい。」
これを書いた時から苦手な川柳にも挑戦する。最初の句は
超えられぬティーグラウンドのバカの壁
仕事で必要な接待だからやると思うと、余計ふてくされて、練習せず本番に臨むので一向に上達しない。
しかし自嘲して下手をぼやけば、そのまま川柳になるのだけがゴルフの唯一の取り柄だ。
現代は昔の川柳と違いサラリーマン川柳が主流、面白いものも中にはあるが、どうもあまりいいなと思うものは少ない。
さて、記録を見ると我が川柳もどきは、その後老いをテーマにしたりして、細々続いたものの良い句はない。
2010年
古希過ぎて鏡のうぬは白髪鬼
古希なれば鏡のうぬは布袋腹
古希ならばあやかりたけれ福禄寿
古希なりて我が夢のゆめ寿老人
古希迎え弁財天とサファイア婚
古希ならば無理してつくれ恵比須顔
古希老に小槌貸してや大黒天
今ぞ古希毘沙門天のご加護あれ
古希なれど足るを知らない福·禄・寿
平成24年(2012)に詠んだ二句。
淡彩の美男自画像妻呆れ
自画像や自惚れ鏡こわれけり
これでぱったり終わっている。
一方で下手な俳句は続いているので、10年も空白期間があるのは変だなと考えてみた。
川柳は本来は苦しい時、辛い時に詠んでそれ笑い飛ばすものだろうが、そういう度量は持ちあわせていない。この間大病や嫌なこともあったが、眉を寄せてしかめ面をするだけだけだった。
俳句も俳諧味を大事にするというので、おかしみを詠み込むがそれに合う季語をつけて、無理矢理俳句にしてしまうらしい。
俳句もどきの川柳は、川柳もどきの俳句にこうして変身してしまうので、川柳らしきものが長い間一句も出来なかったのは、その結果なのであろう。
短歌の場合は季語にとらわれないせいか、戯れ歌になる。老いを嘆く歌などはこれになる。これは下手だけどよく詠んだ。
俳句では区分などせず記録しているので、川柳擬きと気がつかなかっただけのことか。
俳句は狂歌という分野もない訳ではないが、意図して詠んだことは無い。
さて、この2年ほど20年近く続いていた趣味の水彩がストップしている。透明水彩画は段取りも重要な上、書の様に思い切りも必要で本気になれば結構きつい趣味だ。
描き直し訂正のきくグワッシュや油彩とは、基本的なところで差異がある。
一度モチベーションが落ちると道具を用意するのさえ億劫になる。道具と言っても紙と筆と絵の具「パレット)と水だけなのにである。
代わりにiPadアプリで絵を描いて遊んでいたが、それも1年ほどでやめてしまった。
コロナもあり、散歩中見つけた花木の名前を写真検索してブログを書くことだけが趣味になってしまっている。
この花何?とあれこれ調べると花木というのは、名前の特定自体も難しいが、たぶんこれだろうと分かっても、学名、英名、標準和名、別名などがあって覚えられないほど複雑である。
最大の欠点はやっと名前が分かったのに、加齢もあってすぐ忘れることだ。これは多分動物名、鳥、昆虫、魚類等々でも同じであろうと思う。
一計を案じ名前と特徴などを5、7、5つまり川柳擬きで詠むことにした。
受験の時に年号を覚える時にやったアレだ。いい国にする頼朝公、1192年鎌倉幕府開設。いやロッパさん明治だよ、1868年明治維新。
言葉、それも十七文字になれば頭の隅で、少しでも引っ掛かりはしないか。
川柳でも無く勿論俳句にあらず、強いて言えば連句で言う「雑の句」だがそれもふさわしく無いので「川柳擬き」と呼んでいた。
名を知ればスノーフレークまた見つけ
韮ちゃうよスノーフレーク食べちゃダメ
そのうち、カラタネオガタマ(唐種招霊)を検索したとき、中国名が「含笑花」ということを知ったので、わが「川柳擬き」を「含笑句」と名付けたくなった。江國滋の微苦笑句に倣ってである。
この香りたぶんカラタネオガタマぞ
バナナの木唐招霊(トウオガタマ)よ含笑花
ヘイバナナこちらカラタネオガタマよ
含み笑いを辞書で見ると、「口をとじ、声を出さないで笑うこと。また、その笑い。」、「意味ありげに―する」とある。
四字熟語の「呵々大笑」~大声をあげて笑うこと。の反対語か。素晴らしく良い語感とは言えないが、「含笑花」という言葉もあるので、「含笑句」はさして悪い感じもなさそう。「意味ありげに」と言うのが少し気になるが。
カラタネオガタマ(唐種招霊)の花は半開の期間が長い。雌しべらしきものが花びらから少し見えて中を開いてみたくなる風情がある。
含み笑いをしている様な花とは言い得て妙。
英名がバナナツリー、バナナシュラブで良い香りがする。中国名が「含笑花」である。
英語では含笑(含み笑い)はsmile meaningfully らしい。
Mona Lisa mysterious smile モナリザの謎の微笑を連想するがそれよりも良さそう。
句を読んで大笑いするほどではなく、にやりと意味ありげに口元がほころぶ、それで十分である。
カラタネオガタマは自分が見たのはピンク色の花だったが、
の栽培品種はいくつかあるようだ。
その名の通り赤い花のカラタネオガタマポートワイン(常緑樹)や深山含笑、金葉含笑(葉の裏が金色)などがあるとネットが教えてくれた。
ブランドはポートワインてふ含笑花
唐招霊(0トウオガタマ)深山含笑(ミヤマガンショウ)意味ありげ
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