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白鷺42年 〜鷺宮今昔〜 [随想]

 


 妙正寺川辺の遊歩道が自分の主たる散歩道だ。遊歩道は両岸にあり、かなりの距離があるが、歩くのは西が早稲田通りにかかる永久橋から東は鷺ノ宮駅近くの双鷺橋の間のごく短い間である。


 


 妙正寺川は川というより排水路というべき風情だから、むしろ街なかを歩いた方が変化があって面白いくらいだ。


しかし、少ないながら遊歩道には休憩ベンチがあるので、最近はどうしてもこのコースにならざるを得ない。


遊歩道と言っても木々も少ないので日陰、緑陰などが少なく、コロナ以後ジョッギングランナーが増えたのも難点。


 


このところコロナフレイルで、すっかり弱って歩数も減った。


ウォーキングや散歩というよりよろよろ歩き、情け無いが水源地の妙正寺池(妙正寺公園)へもたまにしか行けなくなった。


 


中野区の区民活動センターの広報誌「鷺宮」に昭和32年と現在の鷺宮橋と双鷺橋の写真が掲載されていた。


写真の右鷺宮橋は家から1分、左の双鷺橋は家から7〜八分の鷺ノ宮駅の近くの橋である。


 


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昭和32(1957)といえば、疎開地栃木県那須烏山市の男子高校2年生。田舎でのんびり暮らしていた。写真で見る限り、当時の中野区白鷺の地も、東京郊外といっても我が田舎の雰囲気と同じようなものだと分かる。しかし現在を比べればやはり東京の方が変化は大きいのではないかと思う。


 


昭和55(1980)西多摩の東大和市から越してきたので、この鷺宮の地に住んでなんと42年になる。我が人生の半分を超えたことになる。もっともこの内、家族帯同転勤の大分2(福岡1年この間は空き家にしていた)、単身赴任の大阪2年の計5年間は住んでいなかったが。


 


このことは「白鷺35年」と題して201512月のこのブログに書いた。


https://toshiro5.blog.ss-blog.jp/2015-12-23


 


よって今回は、「その2」みたいなものになる。


 


前回は白鷺なる地名の由来や、かつて飛んでいたであろう鷺を、自分は35年間一度も見なかったことなどを描き、「眼裏に白鷺を見て暮しをり」と駄句を詠んだ。


 


今回の冷や汗駄句、駄句。題して「春団地」。


 


鷺ノ宮駅の南口を出て三分ほど歩くと東京都住宅供給公社(JKK)の団地が上掲の鷺宮橋まで続いている。この辺りの人は通称「西住宅」と呼ぶ。鷺ノ宮駅の西にあるからであろう。4、5階建18棟あって敷地は広い。 


我が家から鷺ノ宮駅までは、この団地内の遊歩道を歩くことになる。団地には広い庭と公園があり、樹木も大きくそこそこあるので、今となっては、この地の住宅の密集化をおおいに防いでいることになり、ありがたい。


団地集会所には数本の巨桜(おおざくらーこの辺にしては)があるので近年は花見をここで済ませ千鳥ヶ淵、新宿御苑、井の頭公園なども久しく行っていない。


 


暮れかねる団地の時報新世界


夕方団地のスピーカーからドヴォルザークの「新世界より」(交響曲九番第二楽章)の曲が原曲という「家路」(堀内敬三作詞の唱歌)のメロディが流れる。「遠き山に日は落ちて〜♪」である。暮れかねるは遅き日、永日と同じ春の季語。


 


見上げれば枝重なりて花天井 


遠目には花天蓋の巨桜


集会所の太い桜枝は、遊歩道の真上を跨いで妙正寺川を覗いている。遊歩道の真下で仰ぎ見ると、枝が層をなして伽藍の天井に見えるし、大きいので遠くから見れば、形の良い樹全体が花の天蓋のようだ。


 


人気なき雨の団地の巨桜


さすがに雨の日は花の下に人が殆んどいないことがあって、その静けさに驚くことがある。


 


一昨日(おととい)と昨日のひよどり落花かな


桜には毎日ひよどりが来て花を散らす。鵯は秋の季語。落花は春だから季違い。酒井抱一の句 鵯の花吸ひにくる夜明けかな もあるしよしとしよう。


 


双鷺橋川面を覗く花枝垂れ


眺むれば双鷺橋詰め花筏


上掲写真の双鷺橋を詠み込んだ桜の句。妙正寺川の川幅は狭いので流れる花筏は速い。双鷺橋の近くに鷺宮八幡神社とその別当寺白鷺山福藏院が同じ敷地に隣接してある。そこの桜も風情がある。


 


多作多捨拾ふ句はなし目借り時


 


駄句ばかりつくる詠み手にも、桜の季節は句材が尽きない。断るまでもないが、駄句は蛙の目借り時のせいにはあらず。


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白鷺山南蔵院 [随想]

 


福藏院正幡寺の所在地は中野区白鷺1丁目になる。近隣の地名が井草、沼袋、阿佐ヶ谷、荻窪など谷や低地を現しているので分かるようにこの地は川、湿地が多い。昔から白鷺が多く棲み飛んでいたのであろう、寺の山号を白鷺山(しらさぎさん)とつけたという。


鷺宮地区は発展して広くなり、1965(昭和40)年の住居表示施行により鷺宮、上鷺宮、白鷺に分かれた。自分が住んでいる白鷺(しらさぎ)という字名はこの山号に由来する。


 


福蔵院は真言宗豊山(ぶざん)派。宗祖空海弘法大師。総本山奈良の長谷寺。東京では西新井大師(總持寺が総本山、有名なのは護国寺などがある。宗紋輪違いとか。


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福藏院は西武新宿線鷺ノ宮駅(駅名は何故か「ノ」が入る)のすぐ近く、妙正寺川のほとりの閑静な住宅街の中にある。


隣接して鷺宮八幡神社があり、明治の神仏分離までは福蔵院が別当を務めていたという。つまり寺はいわゆる神宮寺で神社の運営管理をしていた。


開山の頼珍法印が大永元年(1521に亡くなっているので、「新編武蔵風土記稿」では文亀・永正(150121)の頃の創建と推測されている。東京の最古の寺は金龍山浅草寺(628)というから、それに比較すればさして古寺ではない。


 


本殿の屋根に太陽光発電パネルがある。景観を損ねるという人と、合理的でかつ屋根のデザインにフィットしてなかなか良い、という意見とに分かれるようだ。たしかに言われるまで屋根にそれがあるとは気がつかなかった。


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庭が綺麗に整備されて庭木の手入れが行き届いて、敷甃も端正。


 


寺の庭には桜、ヤマモミジや柿、木斛、花梨、槇、石楠花などが植えられ四季を通じて表情を変える。なかでも樹齢350年というヤマモミジには圧倒される。


今年の春は、3月中旬の開花、二分咲きのころから41日〜8日の花祭りを経て花冷えの時期、落花に至るまでの桜、その後の木々の新緑とたっぷり寺の庭を散策して楽しませて貰った。


 


ある時、立派な常緑樹を指して庭師に、この木は車輪梅ですかと聞くと木斛(モッコク)との答え。怖そうな職人さんだったので、それ以上聞くのが憚れたからネットで調べた。


「モッコク(木斛)は、モッコク科モッコク属の常緑高木。別名でイイクともよばれる。江戸五木の一つ。モチノキやマツと並び「庭木の王」と称される。


江戸五木(えどごぼく)とは、江戸時代に江戸で重視された造園木で


①モッコク 木斛


②アカマツ 別名雌松 女松 (クロマツが雄松 男松)


③イトヒバ サワラ椹の変種。(サワラは檜に似た木)


④カヤ 榧


⑤イヌマキ 犬槇 」とあった。


 他の寺でも同様だろうが、ここには江戸五木や庭木の王が殆んど植栽されているに違いない。


寺の鐘楼も立姿が優雅な趣き。桜の季節には一層引き立つ。


 


本堂のソーラーパネル花曇り 


鐘楼の腰に花散る古刹かな


新品の地蔵前掛け花まつり 


 


山門の近くに都内には珍しい立像の「十三仏の石仏」がある。


立札をグーグル検索(テキスト)すると次のとおり。少し長い引用になるが。


 


ここにならぶ仏菩薩が十三仏です。 右から不動明王(初七日釈迦如来(二七日文殊菩薩(三七日普賢菩薩 (四七日地蔵菩薩(五七日弥勒菩薩( 七日薬師如来 (七七日観世音菩薩(百か日勢  至菩薩(一周忌阿弥陀如来(三回忌閦如来(あしゅく七 回忌大日如来 (十三回忌虚空蔵菩薩 (三十三回 です。 この十三の仏菩薩は、死後の忌日をつか さどるもので、冥界で生前の審判を受ける死者の救 済を願ってまつられたものです。このように自他の供養がまとめて修められることから、室町時代以降、 民間で広く信仰されました。


銘によれば、八体は、寛文六年(一六六六)の大 日如来像を最古として、貞享二年(一六八五)の普 賢菩薩像に至る十九年間に造立され、あとの五体は 破損したものとみえ、現存のものは百余年後の寛政 八年(一七九六)に真言講中の二十七人によって再 建されたものです。


このように石像で十三体そろったものは都内でも めずらしく、他の石仏と同様、江戸時代後期の日常 生活に深く根づいていた庶民信仰の現われといえま しょう。


            昭和五十六年三月  中野区教育委員会」


 


花冷えや地蔵の前掛け寸足らず


十三仏涎前掛け花衣


蓮華坐に桜蘂降る十三仏


 


 


 


 


 


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スノーフレークとスノードロップ [自然]

お寺の境内を散歩したあと、寺が運営していた保育園跡地にすずらんに似た白い花で緑の斑点のある綺麗な花が、沢山咲いていた。


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名を知りたいとグーグルフォトで検索するとスノーフレーク、和名大待雪草(オオマツユキソウ)、別名鈴蘭水仙(スズランスイセン)と出た。


フレークとは何か調べたが、言及しているサイトがなかったので、勝手にツナフレーク、コーンフレークと同じ「切片」と解したがどうか?


 


似た名前でスノードロップという花(球根草)があって、写真画像で見たことはあるが、現物を見たことがない。別名を待雪草(マツユキソウ)ともいうとか。


 


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この二つともスズランに似ている。鈴蘭はスズラン属で別種という。しかも蘭ではないそう。毒がある。スズランの別名は君影草、谷間の姫百合。英名Lily of the valley


スノウフレーク、スノードロップは、ほかに水仙、韮、ハナニラなど花、葉とも似ていてやっかいだ。


水仙はヒガンバナ科、スイセン属の総称で、ニホンズイセンやラップスイセンなど種類は多い。野菜の韮はネギ属。ハナニラはネギ亜科ハナニラ属である。


 


韮とハナニラも良く似ている。ハナニラも名を知らず検索したので別途書きたい。


 


この花何?と検索していて冷や汗駄句、駄句を詠んだ。


俳句擬きというより、季語まで読め込めないのが多いので、川柳擬きか。どうしても説明調になる。句を読んですべて理解出来るはずもないのは致し方ない。何せ十七文字だ。


花の名をせっかく検索して知ったのに、加齢により記憶に残らず直ぐに忘れてしまうのが悩みだが、少しでもそれを防げれば嬉しい。


受験の時に年号暗記した手法ーいい国(1192)つくる頼朝公(鎌倉幕府開設)ーというあれ。


 


名を知ればスノーフレークまた見つけ


 


不思議なもので、花の名と実物が一致するとにわかにあちこちで見かける。知らないということは、無いのと同じことだとは良く言ったものである。


 


韮ちゃうよスノーフレーク食べちゃダメ


 


 


スノーフレークも水仙と同じでアルカロイドを含む。野菜の韮と間違えると食中毒事故を起こすので用心が必要。


韮はちぎると臭く水仙は無臭なので判別できるというが、中毒事故は少なくは無い。「京都市保健所は、2022/4/11、子育て支援施設の給食で、ニラと間違えて毒のあるスイセンを提供し、食べた子どもが食中毒になったと発表。厚生労働省によると、2021年までの10年間で約60件あり、亡くなった人もあった」とヤフーニュースが伝えている。


 


大小の待雪草は春待草 


待雪草雪を待たずに春を待つ


 


スノーフレークの和名がオオマツユキソウでスノードロップの別名がマツユキソウだが、二つとも春に花が咲くのに雪を待つという変なネーミングではある。


 


雪片か雪の滴(しずく)か花惑ひ(はなまどひ)


フレークかはたドロップかと雪迷ひ(ゆきまよひ)


 


これは迷走川柳。川柳惑ひ(せんりゅうまどい)


スノウフレークとスノードロップという前書きでもつけないと、読み手に伝わらないしろものである。


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シラン(紫蘭)とシラー ペルビアナ(大蔓穂) [自然]

 


平成22年(2010)だから大分前だが、団地の花壇の一画が区から花と緑のコンクール優秀賞を受賞した。住民の努力が評価されたのだ。まずはめでたい。


 


その受賞の立札(今で残っている)のそばにシラン(紫蘭)とシラー ペルビアナ(大蔓穂)が植えられていて今まさに春、研を競って咲いている。


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シラン(紫蘭)は学名:Bletilla striata 、和名:シラン(紫蘭)。


その他の名前:紅蘭(こうらん)、白笈(はくきゅう)。紅蘭は分かるが、白笈は何を指すのかネットでは分からなかった。


ラン科 / シラン属。原産地は中国、台湾、日本。


花期は4月から5月。花は紫紅色で、30から50cm程度の花茎の先に数個つく。花弁は細長く、あまり開ききらないような感じに咲く。


 


歳時記には


「ラン科の多年草で、5〜6月ごろ葉心から長い茎に、赤紫の美しい花が連なるように咲く。関東以西の山地などの湿った所に自生し、庭園にも植えられる。高さ30〜70センチ。 季夏 (蘭は秋)」とある。


 


例句 紫蘭咲いていささかは岩もあはれなり 北原白秋


   雨を見て眉重くゐる紫蘭かな  岡本眸


 


 花の名をググっていて詠んだ。


  グーグルはこの花紫蘭と宣へり


  AIはこの花紫蘭と言ってゐる


  AIは紅蘭(こうらん)紫蘭(しらん)決めかねて


  AIは知らん(紫蘭)存ぜぬ惚け(とぼけ)けり


  紫蘭ぜよAl検索いいちょるが


 


方やオオツルボ(大蔓穂、学名:Scilla peruviana)は、キジカクシ科ツルボ属(シラー属またはスキラ属ともよぶ。)の多年草。


学名のシラー・ペルビアナで呼ばれる事も多い。 原産地は地中海沿岸の南ヨーロッパ、北アフリカなど。


草丈20-40cmほど。5-6月ごろ、花茎の先に径2cmぐらいの星型の小花を数十個傘状につける。花色は濃い紫が多いが、白色の物もある。なお、大蔓穂は(蔓穂も)歳時記によれば季語では無いようだ。


 


(参考)


ツルボ (蔓穂、学名:Barnardia japonica はキジカクシ科のツルボ属。地下に球根があり、秋の初めにピンク色の花を密生した細長い穂を出す。


 


ややこしや紫蘭のそばにシラー咲く


まぎらわし紫蘭のそばにシラー咲く


大蔓穂 学名シラーペルビアナ


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ハナニラ(イフェイオン)と韮など [自然]

近くの団地の庭には多くの花木が植えられ、住んでいる方が四季を楽しんでいる。春になると、庭に植えられた花と花の間を蕗の葉などがグランドカヴァーとして埋める。その一つにひときわ目立つ星形の白い花があり、絨毯のように広がっていて美しい。この白い花の名を知らなかったので、グーグルフォトで検索をした。

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 それがイフェイオン。イフェイオンと言っても知らない人の方が多いのでは無いか。一般的にはというか、日本では別名の「ハナニラ」の方が通りが良いと思う。


ハナニラ(花韮、学名:Ipheion uniflorum)はネギ亜科ハナニラ属に属する多年草。原産地はアルゼンチン。科名はユリ科で分類される場合もある。


葉にはニラ()やネギ()のような匂いがあり、このことからハナニラ(花韮)の名がある。


なお、ポピュラーな野菜のニラ(学名 Allium tuberosum)の一種に花茎とその先につく蕾の部分を食用とする「花ニラ(ハナニラ)」があるが、同じ亜科に属するものの別種である。


園芸植物である方のイフェイオン=ハナニラは食用にはならない。イフェイオン=ハナニラには先端に花が一つしか咲かないため区別できる。


イフェイオンといえば、通常は、南米のアルゼンチン及びウルグアイ原産のイフェイオン・ユニフロルム(学名である)を指す。


自分が団地の庭で見たのはこれだと思う。


 


さて、ハナニラ属は、南米に10種ほどが分布しているが、日本でもよく栽培されているのがイフェイオンで、きれいな星形の花に特徴がある。丈夫で育てやすく、球根もよく増えるという。


白い花だが、時折り紫っぽいのや花びらが少し太めのものも見かけることもある。


 


なお、黄色の花が咲くイフェイオン セロフィアナムは、ヒガンバナ科ハタケニラ属(ノトスコルダム属)にされている。また、同じく黄色いノトスコルダム モンテビデンセというのもあるとか。これらは今はイフェイオンとは別属とされているらしい。


黄色いのはネットの画像を見たが、実物は見たことが無い。白いイフェイオンのように、広い庭いっぱいに沢山咲いたら見事なものだろうと想像してしまう。


 


晩秋から初冬に白い花を咲かせるパルビフローラ(I.parviflora Tristagma recurvifolium


 平たい葉をもつが、開花が早く11月から12月に白い花を咲かせる。イフェイオンの名で流通するが、実はトリスタグマ属に分類される。


 


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  ハナニラは イフェイオンの 異名なり


  名を知ればやたら目につくイフェイオン


  検索のハナニラやたら其処ここに


  咲き初めは春の星図かイフェイオン


  ハナニラや星図のごとく咲き始め


  五階からは星図に見えるかイフェイオン


 


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 ニラ(韮、韭、Allium tuberosum)は、ネギ属に属する多年草。(ハナニラはネギ亜科)中国原産で欧米では栽培されていない。東洋を代表する野菜である。


わが田舎ではこの葉で地面の穴にいる虫を釣り出す遊びをしたことがある。遠い日のことだ。あの虫は何の幼虫だったのだろう。1cmほどの薄緑色だった。


ニラといえば反射的に思い起こすのはレバニラ炒め。学生時代金がない時の定食はこれ。しょっちゅう食べた。


 


韮 (別名ふたもじ) の季は春。「韮の花」は夏。花韮ハナニラは春の季語。 尚、「花韮」は、野菜の「韮」とは全く違う植物で、「韮の花」とすると夏の季語となるので注意を要すると歳時記に説明がある。


 


    一文字(ひともじ)の韮は別名ふたもじにや


  ふたもじは韮の別名一文字(いちもんじ)


 


「薤露(かいろ)という言葉がある。漱石の小説「薤露行」の薤露である。(行は詩のこと)


(薤にらの葉の上に置く露は消えやすいところから)人の世のはかないことや、人の死を悲しむ涙をいう語。また、漢の田横の門人が師の死を悲しんだ歌の中にこの語があったことから、葬送のときにうたう挽歌(ばんか)の意にも用いる。


 


「薤は一般的にはニラを意味するが、中国ではラッキョウのことである。薤の葉は幅が狭く、露がとどまりにくく乾きやすい。このことから、住みにくい世に生きる命の儚さの比喩になっている」とウキペディアにあるので漱石の薤露行はらっきょうの葉についた露の行(漢詩)と解するのか。小説は難解だ。青空文庫で読み直そう。


 


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  薤露行我に難解眼借り時


  永日や我に難解薤露行


  遅き日や薤露行を読み返す




らっきょう(辣韮、薤、辣韭 学名: Allium chinense)別名は「オオニラ」、「サトニラ」。ネギ科の多年草。燐葉(りんよう)で覆われ卵形の地下茎をもち、葉は線形で根際から出る。秋、高さ約40cmの花茎を伸ばし、紫色の小花を球状につける。中国の原産。鱗茎(りんけい)を漬物にし、特有の香味がある。《季 夏 花=秋》「辣韮ほる土素草鞋(すわらぢ)にみだれけり/蛇笏」(歳時記)


 


「葷酒山門に入るを許さず」という古諺があるが、肉や魚は?葷か酒か。肉も魚も入るを許すことはあるまい。葷は主にネギ属の植物であるネギ、ラッキョウ、ニンニク、タマネギ、ニラなどを指すという。


仏教では、忍辱(にんにく)、野蒜(のびる)、韮(にら)(ねぎ)辣韮(らっきょう)などの五つを五葷という。アサツキ(浅葱)、アブラナ(油菜)とすると説もあるらしい。


 


にんにく(大蒜 葫)ユリ科の多年草。高さ約60cm。全体に強い匂いがある。地下の鱗茎(りんけい)は灰白色で、数個の小鱗茎からなり、食用。強壮薬・香辛料などにも用いる。夏、茎の先に、長い苞葉に包まれて白紫色の花が集まって咲く。花の間にむかごをつける。ガーリック。《季春》(角川歳時記)


例句


雑草を抽きて大蒜畑強し  石川桂郎(1909  1975


(ざっそうを ぬきておおびる はたつよし)


 


石川桂郎は確か俳人というより、川柳人だったような気がする。


上掲句も代表作 昼蛙どの畦のどこ曲らうか も滑稽味溢れて


俳句と川柳の区分も曖昧だと分かる一例だ。


 


ニンニク(蒜、大蒜、葫、忍辱、学名:Allium sativum)は、ヒガンバナ科ネギ属の多年草。香りが強く、強壮・スタミナ増進作用があると信じられているため、球根(鱗茎)を香辛料などとして食用にするほか、茎も「ニンニクの芽」(トウ)と呼ばれて野菜として調理される。かつてクロンキスト体系による分類ではユリ科に属していた。強烈な風味を持つことから、肉食の習慣がある地域で普及している。(ウキペディア)


 


ノビル(野蒜、山蒜、学名Allium macrostemon)は、ヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属の多年草。日当たりのよい土手や道端に生える野草で、全体の姿や臭いはニラに似ている。花にムカゴをつけて繁殖し、葉と地下の球根は食用になる。(ウキペディア)


 


ユリ科の多年草で、田の畦あぜ・荒れ地・土手などいたるところに群生している。葱のような臭みがあり、茎は細長く直立し、初夏に花をつける。春の代表的な食用野草の一つで、茎と鱗茎りんけいを生食したり、浸し物・酢味噌和え・胡麻和えなどにして食べる。


季語春 (角川歳時記)


 


 これも田舎で良く摘んできては、お浸しにして食べたので懐かしい。当時でも農家の人は野菜には事欠かなかってので、食べる人は少なかったと思う。我が家では貴重なビタミンだった。今ではこれを食べる人はいないのだろう。田舎では「ののひろ」と呼んでいた。花はどんなものだったか覚えていない。


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ルピナス(昇藤または葉団扇豆) [自然]

ルピナス

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家人が駅前のフラワーショップでルピナスの苗を買ってプランターに植えた。この花なに?は知らないから検索するのだが、今回は花屋さんの名札がついているので、名は分かっている。しかし初めて聞く名なので、少し詳しいことを知りたくてググって見た。

 

ウキペディアが1番手っ取り早い。

「ルピナス属(るぴなすぞく、学名: Lupinus、ルーピン、英: Lupin)は、マメ科の属の1つ。ルピナスの名はオオカミに由来し、吸肥力が非常に強い特徴を貪欲な狼にたとえたものであ和名はハウチワマメ属(葉団扇豆属)。根生葉が掌状複葉であることから付けられた。また、花の様子がフジに似ており、花が下から咲き上がるため、ノボリフジ(昇藤)とも呼ばれる。地中海沿岸地方と南北アメリカ、南アフリカなどに200種以上が分布している。葉には長い柄があり、草丈は50 - 180cmくらいになる。春から初夏にかけて、雄大な総状花序をなし、蝶形花を多数咲かせる。宿根ルピナスの大きな物では、花穂が60cmにもなる見事な花になるが、暑さに弱く、暖地の気候にはあまり合わない。

この属は、アメリカ、地中海沿岸地域などに分布し300種類以上ある。古代には食用、飼料用、石鹸の材料として利用された。日本では、明治期に緑肥用作物として導入された。園芸植物としての栽培が始まったのは近世になってからで、1911年にジョージ ラッセルが改良種を開発し、多様な園芸種が作られるようになった。現在は園芸植物としての栽培が一般的である。」とある。

 

ルピナス属の栽培種で知られているのは、多年草タイプのラッセルルピナス(学名L. polyphyllum: Garden lupin 。寒冷地では宿根して毎年雄大な花を咲かせるが、耐暑性が弱く、温暖な地域では一年草として扱われる。アメリカ合衆国北西部の原産で草丈150cm以上になる。花色には紫・藤色・樺色・紅・白などがある。

白花ルピナスは花色 白〜乳白色。白花ルピナス豆(ルピナスビーンズ)の塩茹では、地中海地方でビールのつまみの定番として知られる。ルパン豆、または、ルパンビーンズ(ルーピンビーンズ、英:Lupin beans,:葉団扇豆、ハウチワマメ)とも呼ばれる。

同じく黄花ルピナスもルパンビーンズ(ルパン豆)ビールのつまみとなる。

葉にも独特の特徴がある。根生葉が掌状複葉で10枚前後の放射状である。八手ならず十手だ。

なお、Unsplash Lupinと入力して画像を探したら膨大な量が出てビックリ。欧米はじめ世界中において、きっと人気のある花なのだろう。

 

例によって川柳擬き。

 

  ルピナスや花が終わりて豆と知る

  ルピナスの和名はゆかし昇藤(ノボリフジ) 

  ルピナスは葉団扇豆(ハウチワマメ)と天狗言う

  ビールには黄花ルピナスルパン豆

  ルピナスや怪盗ルパン連想す

  ルピナスやルパン豆の味知らず

    ルピナスの葉は掌状で十手なる


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マムシグサ(蝮草)など [自然]

「この花何?」は原則として自分で撮った写真を使用して検索しているが、今回はFB友達がアップした庭のマムシグサの写真を使った。初めて見る花の写真だったのである。


似た画像が幾つも出てきた。素人が特定するのが難しいことがよく分かる。AIといえ判じ難いものも多い。お遊びだから良いが、大事な時は危険だという気もする。間違って覚えても、周りに迷惑がかからない趣味の程度にとどめておくのが良さそう。自分の場合はそちらの方だから問題なし。


大事な時は花屋さん、植物園、園芸高校、農業試験場に確認した方が良いだろう。


 今回もあたりは付けられるが、自信はない。しかし特定できなくても、お陰でサトイモ科テンナンショウ属などに纏わる興味深い多くのことを知ることになった。十分楽しんだ。有難いことである。


 


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マムシグサ(蝮草、学名:Arisaema serratum)は、サトイモ科テンナンショウ属の多年草である。有毒植物。


マムシグサ は偽茎の紫の斑模様がマムシの胴体の模様に似るのでこうよばれる。仏炎苞(ブツエンホウ)は緑のものや紫のものがあり、葉よりも上に出る。棒状の付属体を持つ。


 雌雄異株である。晩春に、花茎を直立させて開花する。苞(仏炎苞)は紫色に近く、白線がある。なかには苞が緑色のものもあり、アオマムシグサまたはカントウマムシグサと呼ばれる。花のつき方(花序)は肉穂花序の代表例で、苞の中にまっすぐ立つ。花期は4月から6月である。


果実は秋に橙色から赤色に熟し、トウモロコシに似た形状の果実を付ける。


全草にシュウ酸カルシュウムの針状結晶、サポニン、コニインが含まれる。特に球根の毒性が強く、その汁に触れると炎症を起こす。誤って食べると口中からのどまでに激痛がはしり、唾を飲み下すことすらできないほどとなる。また、激しい下痢や嘔吐、心臓麻痺といった症状が現れ、重篤な場合には死亡する。


 


属名のテンナンショウは「天南星」の意で、この類の球茎の漢方生薬名である。天南星の別名はヘビノダイハチ、ヤマゴンニャク(山蒟蒻)という。いずれも俳句の春の季語というが、角川歳時記では出てこなかった。はて?。


毒持ちて生薬となる蝮草 (小毒は良薬をもたらすらしい。)


  毒もあり蝮模様の蝮草


  毒蝮毒蝮草恐ろしや


 


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ウラシマソウ(浦島草)サトイモ科/テンナンショウ属の多年草。


 ウラシマソウ(Arisaema thunbergii subsp. urashima -)は北海道南部、本州、四国、九州北部に分布する。仏炎苞(ブツエンホウ)は褐色の舌状の舷部を持ち、葉の下につく。付属体の先が長く糸状に伸びて垂れ下がるため、浦島太郎の釣り竿の連想からこの名を持つ


 浦島草針も付けずに何を釣る


 (太公望も釣り糸に針はついていなかったような気がする。)


 八十路入る浦島草が気になって


 傘寿過ぎ浦島草が気にかかり


 


ユキモチソウ(雪餅草、学名: Arisaema sikokianum)はサトイモ科テンナンショウ属の多年草。花の中央に雪のように白い餅に見える付属体があることから雪餅草と呼ばれる。付属体は何だろう。虫には餅に見えるのか。根有毒。


  誰がための雪の餅肌雪餅草


 


ムサシアブミ(武蔵鐙、学名 Arisaema ringens)はサトイモ科テンナンショウ属の多年草。別称「由跋(ユハツ)」、古くは「加岐都波奈(かきつばな)」とも呼ばれていた。別称の由来は分からず。


 (あぶみ)とは馬に乗るときに足を掛ける金具のことで、鞍の両脇に垂れている。その鐙に花の形が似ているため、この名前がつけられたらしい。江戸時代までは武蔵の国の鐙の品質が良かったため、ムサシアブミになった。


  美丈夫や武藏鎧の武藏振り 


  武藏坊武藏鎧は足が出る


  駿馬飛ぶ武藏鎧や義経忌   義經忌旧4/30


  母衣武者の武藏鎧に踏ん張りて


 


https://www.hana300.com/musasi.html 武藏鎧


 


これら蝮草、浦島草、雪餅草、武藏鎧はサトイモ科のテンナンショウ属ばかりで実物を見る機会に乏しいが、サトイモ科には他に里芋(タロイモ)、コンニャク、ミズバショウ、ザゼンソウなど属は異なるがポピュラーなものがある。


 


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 サトイモ(サトイモ科サトイモ属)芋といえば季語では里芋のこと。花といえば桜の如しか。今では薩摩芋じゃがいももあるので、俳句の世界だけのこと。


     里芋はタロイモよりもぬめりあり


  芋の葉に二つ穴開けゆるキャラに


 


 コンニャク(サトイモ科コンニャク属)蒟蒻玉、蒟蒻芋ほるなどが冬の季語 花は無い。


  コンニャクや刺身と化して鮨食いねぇ


 


ミズバショウ(水芭蕉、学名: Lysichiton camtschatcensis Schott)は、サトイモ科ミズバショウ属の多年草。夏が来れば思い出す 。尾瀬の群生が有名。夏の季語。


  メタバース尾瀬遠けれどミズバショウ


  ミズバショウコンニャク問答ザゼンソウ


 


ザゼンソウ(座禅草、坐禅草、学名: Symplocarpus renifolius)は、サトイモ科ザゼンソウ属の多年草。別名達磨草。


ザゼンソウは開花時期に発熱を行なう。発熱が起こり約25°cまで上昇する。そのため周囲の氷雪を溶かし、いち早く顔を出すことで、この時期には数の少ない昆虫を独占し、受粉の確率を上げている。神の深慮か。達磨の知恵か。春の季語。


これは一度何処かで見た記憶があるが、何時何処でだったか思い出せない。長野だったかもしれぬ。


ザゼンソウを地湧金蓮(ちゆうきんれん)とするサイトもあったが、どうやらこちらは芭蕉(ばしょう)科 学名Musella lasiocarpaMusella : ムセラ属lasiocarpa : 別名「チャイニーズイエローバナナ」ではないかと思う。この辺になると素人、門外漢の手に余ってくる。


 


  ザゼンソウ花発熱し虫を呼ぶ 雪溶かす


  ザゼンソウ虫を惑わす誘蛾熱


    ザゼンソウソーラーパネル虫媒花


 


地湧金蓮(チユウキンレン)はバショウ科ムセラ属の亜熱帯性の植物。学名では、「Musella lasiocarpa」中国名が「雲南地湧金蓮(ウンナンチユウキンレン)」英名は、「チャイニーズ・イエロー・バナナ」


「チユウキンレン」と読むが、正しくは「チヨウキンレン」。


地面から湧いてきた金色のハスを意味。日本では「耐寒バナナ」とも。


花が咲く時期は、大体秋からが一番多く、一度咲くと約1年間近く咲く。


 花の大きさは30cmで「地湧金蓮」の名の通り、見た目は黄金色のハスの花のようだが、黄色の花のように見えるのは、実は苞(ホウ)である。花弁状の葉で、本当の花はその間に小さく細い筒のように咲いている。


 


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ショクダイオオコンニャク(燭台大蒟蒻、学名Amorphophallus titanum)は、サトイモ科コンニャク属の植物。別名スマトラオオコンニャク。インドネシア、スマトラ島の熱帯雨林に自生する。最短でも2年に一度2日間しか咲かない、世界最大の花として有名になった。確か腐臭が強烈とか。


 


花序とその付属体、および仏炎苞(ブツエンホウ)の複合体は直径1.5mに達するとされ、その縦寸は3.5mまでになった記録もある。


 


なお、バナナ(甘蕉、実芭蕉、英: Banana学名Musa spp.)は、バショウ科バショウ属のうち、果実を食用とする品種群の総称である。これはこれで沢山の種類がある。


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冬紫陽花(フユアジサイ) [自然]

 


例年花の季節はアジサイが終わるとめっきり寂しくなるね、と家人と話す。あとは夾竹桃、百日紅など花の種類も少なくなる。


 


そのアジサイは6月の雨季の頃に咲くものだと思っていたが、冬の寒い2月から3月に咲く「フユアジサイ」なるものを、散歩中によそ様の庭で見つけてググって知った。


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最初アジサイとは思わず不思議な花だなぁと思ったが、撮影した画像(2022/4/15撮影)をよく見れば額アジサイによく似ている。


別名「スプリング・エンジェル エレガンス」とも言われ冬に観賞できる新しいタイプのアジサイだそう。


花は西洋アジサイのように大きく 花弁に見える顎は花径が78cmほどある。


ネットによれば、群馬県農業技術センターが台湾のトキワアジサイとセイヨウアジサイの交配によって平成16年に作った品種という。名前にあるように、冬(2~4月)に咲くアジサイ。スプリングエンジェルシリーズの3種類が流通しているという。自分が見たのはたぶんフリルエレガンスと思われる。


 


交配の片方のトキワアジサイ(常盤紫陽花)は、台湾原産アジサイ。一般的なアジサイと異なり、冬になっても葉を落とさないのが特徴で2、3月ごろ開花する。ほのかに香る。別名カラコンテリギ。タイワントキワアジサイ(アジサイ科タイワントキワアジサイ属)


交配のもう一方がセイヨウアジサイ。


紫陽花には両性花と装飾花という2種類の花がある。
両性花は雄しべと雌しべを持ち、いわゆる花の本体で代表がガクアジサイ、アジサイの原種で日本原産である。
一方、装飾花には大きな花びら(がく)があり、雄しべと雌しべが退化している。こちらがセイヨウアジサイ(ホンアジサイとも)。日本から持ち出されて栽培改良されたものだ。玉、鞠状になる。
一般的に紫陽花の花として認識されているのは、この装飾花のほうである。シーボルトの「オタクサ」などでよく知られる。


自分はアジサイにはガクアジサイとタマアジサイの二種類があると間違って覚えてしまっていたが、タマアジサイでなくセイヨウアジサイ、手毬咲きというからマリアジサイと言った方が当たっている。それがセイヨウアジサイ、本アジサイである。


 


なお、かつて、このブログで書いた紫陽花の新品種「きらきら星」を作り出したのは栃木県農業試験場だったが、このフユアジサイは群馬県農業試験場という。農業試験場もなかなかやるものだと感心する。


 


きらきら星 


https://toshiro5.blog.ss-blog.jp/2021-06-16



さて、アジサイはガクアジサイ(額紫陽花)
とも季語は夏。俳句ではアジサイは鞠状のものを言い、七変化としてガクアジサイと区別しているフシがある。角川歳時記で見るとアジサイ、ガクアジサイともユキノシタ科とあるが、ウキペディアではアジサイ科アジサイ属。どちら正しいのか分からぬ。


 


花の色がよく変わることから、別名で「七変化」「八仙花」とも呼ばれる。また、四葩(よひら)は俳句で好まれる別名で、葩は「花びら」を表す言葉である。


 


  アジサイと季違となるフユアジサイ 


  フユアジサイ俳句で詠めば冬四葩(よひら)


 


余談①


「あじさいの歌」 (石原裕次郎歌、1960年)がある。YouTubeで聞いて見たが、今まで聞いたことが無かった。自分もこの時代青春真っ只中だったのだが。


この歌および生前アジサイが好きだったことにより717日の石原裕次郎忌を「あじさい忌」というとか。これも知らなかった。


 


余談②


たまたまネット画像でガクアジサイによく似た瓊花(ケイカ)いう花を見つけた。


「鑑真和上ゆかりのお寺「唐招提寺」では、毎年4月中旬~5月ごろ、中国・揚州の名花「瓊花(けいか)」が一般公開される。隋の皇帝・煬帝が気に入って門外不出とした花で、国内で見られる場所が限られる貴重なもの。ガクアジサイのような花からいい香りが漂う。」とある。


 


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瓊花はスイカズラ科、ガマズミ属。ガクアジサイはユキノシタ(香りは無い)


 


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