ルスクス・ヒポフィルム [自然]
正月用の切り花として暮れに、蝋梅とアスターそしてオンジュウムを買ったら、「あしらい」として緑の枝が1本ついてきた。
他のものは年が明けて枯れてしまったのにこの緑の枝は全く衰えることなく、2月を過ぎ3月になっても青々としている。
①緑の切り枝 2021/2/28撮影
何の木かと写真検索してみると、最初アフリカに自生する「ザミオクルカス・ザミフォーリャ(サトイモ科)」と出たが、似て非でちょっと違った。
②ザミオクルカス・ザミフォーリャ
そのときふと見ると、葉の裏に髭のようなものが一個ずつぶら下がっていることに気づいた。「?」という感じ。
調べてみると、この枝はどうやらRuscus hypophyllum(ルスクス・ヒポフィルム)らしい。和名は知らない。ユリ科(或いはキジカクシ科かも?)。
③ルスカス・ヒポフィルム
髭のようなものは花芽(花序)で、やがては花が咲くという。また葉は葉でなく茎だと言うから二度びっくり。茎ならそこに花がつくのは不思議ではない。どおりで保水力が強く、切り花で3〜7ヶ月持つというのも分かる。葉の中は殆ど水だとある。
ルスクス・ヒポフィルムの葉状茎は柔らかく、先端はとげ状にならない。花序は葉状茎の両面(のいずれか)に付く。下につくのはこれだけで、上にだけ付く種類は他に二つある(ルスクス・ヒポグロッスムとルスクス・アクレアッス)。これらは葉状茎の先端が棘状らしい。
④ルスクス・ヒポグロッスム
葉状茎は柔らかく、先端はとげ状にならない。花序は葉状茎の上面のみに付く。
⑤ルスクス・アクレアッスこれが下の⑦ナギイカダらしい。花序はこれも葉状茎の上面のみに付く。
このように葉の真ん中に花が咲くものには、もっと一般的なものに、花筏(ハナイカダ)、梛筏(ナギイカダ)というものがあるというが不学にして知らなかった。
自然は奥深い。
⑥花筏 水木(みずき)科
⑦梛筏 ナギイカダ(ユリ科 梛ナギとはマキ科の木)
ネットで見ると自分と同じように、花店でブーケを買ったらこれがあしらいで付いてきて、「強い保水力と長持ち」そして「不思議な花の付き方」に驚いて調べた人が数人いた。
人もまた何かしら奥深い。
「あしらい」ということばは客あしらいというように、扱うという意味で使うことが多いが、花のあしらい、料理のあしらいというように「取り合わせ」という意味で花卉業者、花店あるいは料理人の世界などでも使うらしい。
日本語もまた奥深い。
なお、写真は①以外はネットから拝借(無断御免なさい)したが、名前と一致しているか、実のところおぼつかない。
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