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オスカー ・ココシュカの水彩画(1/2) [絵]

ある水彩画家のサイトを見ていたら、オスカー・ココシュカの花の水彩画が素晴らしいとあって吃驚した。以前「風の花嫁」に惹かれて、水彩画を描いていないかとネットの画集で探したことがあった。何枚かあったが習作のようなものばかりで殆ど無い、と決めつけていたのである。
しかし、あらためて探してみると、なるほど花の絵を中心に沢山あって我が検索力の脆弱さを思い知らされることになる。プロといえ水彩画家は、さすが凄いと脱帽した。

しかし、ココシュカの水彩画は彼の強烈な油彩画とは全く違うので、二度びっくり。これが同一人物の絵とはとても信じられないくらいだ。画材の違いだけでは、到底説明出来ない。なぜこうも違うのか説明してくれる人が欲しいものである。水彩は中年期以降の高齢になってからのものが多いようだが、若い時(35歳くらい)にも描いたことは、それを原画にしてのちにリトグラフなどエスタンプが作られていることで分かる。ちなみに代表作の油彩「風の花嫁」は、28歳の時の作品である。

オスカー・ココシュカ(Oskar Kokoschka, 1886- 1980 )は、20世紀のオーストリアの画家。エゴン・シーレ(Egon Schiele、1890- 1918 )と同じくクリムト(Gustav Klimt, 1862 - 1918 56歳 )に見出された。シーレの4歳上だが28歳で夭折したシーレと対照的に長寿で94歳まで生きた。
ただ、自分にはシーレとココシュカの絵は、特に人物の肌の色、眼などどこか似ているように見える。「時代」のなせるわざか、交流があったのかは知らない。

関連記事 クリムトとシーレの水彩画
http://toshiro5.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30

ココシュカはドイツ表現主義に分類されることが多いが、画家自身は、「青騎士」、「ブリュッケ」などのグループには参加せず、当時の芸術運動からも距離を置いて終始独自の道を歩んだと言われる。

ところで、ココシュカの絵も、生き方も作曲家グスタフ・マーラー(Gustav Mahler, 1860- 1911)の未亡人、アルマ・マーラーとの恋を抜きに語られることは無い。

交響曲「巨人」、「復活」などを作曲したグスタフ・マーラーは1911年に51歳で亡くなったが、2年後の1913年にココシュカは未亡人アルマとともにイタリアへ旅行している。結婚こそしなかったが、ココシュカは生涯アルマを思い続ける。
ココシュカのもっとも有名な作品の一つである「風の花嫁」(1914 油彩)は、アルマとともにいる画家自身を描いたものであることはよく知られている。

アルマ・マリア・マーラーーヴェルフェル(Alma Maria Mahler-Werfel, 1879 – 1964 )は、1902年グスタフ・マーラー(42歳)と 23歳で結婚(2人とも初婚)したが、1911年マーラーと死別する。アルマ32歳。そしてすぐに、7歳年下のココシュカと激しい恋に落ちた。
建築家ワルター・グロピウスとは、マーラーの死後3年の1515年に結婚、1929年には11歳年下の小説家フランツ・ ウェルフェルと結婚(アルマ49歳)しており「4大芸術の未亡人」とも呼ばれている。この中でココシュカだけがアルマと結婚していない。
瑣末ながら、アルマの名前にマーラー、ウェルフェルが付いているのにグロピウスがないのは何故なのだろう。単純ミスか。ココシュカは結婚してないから無いのが当たり前だが。余計な心配か。
17歳の時のクリムト(35歳)との恋に始まったまことに豪華な愛の遍歴は、ミューズ、ファム・ファタールなどというなまなかのものではない。彼女自身作曲家でもあったというが、中年になっても、こうも男が夢中になるのはいったい何を彼女は持っていたのかと訝る。
彼女は85歳で没したが、生前アルマはこんなセリフを残しているという。
「(グスタフ)マーラーの音楽は好きになれず、(ワルター)グロピウスの建築は理解できず、(フランツ)ウェルフェルの小説には興味もなかったけれど、(オスカー)ココシュカ……。ああ、彼の絵にはいつも感動させられたわ」(高橋容子氏「アルマ・マーラー」)

閑話休題。ココシュカの水彩画を理解するためには、どうすれば良いのか。わからないがまず若い時の水彩画を探して見た。

なお、オスカー・ココシュカの没年は1980年。絵の著作権は消滅していない。

「母と子」制作年不明。若い時のものだろうと決めつけたが、根拠なし。

「ギタ・ウァレルスタインの肖像 」
写真製版のエスタンプ。この作品の原画は1921年(35歳)制作の水彩画だという。この原画を忠実に復刻して1986年(没後6年)に作られたもの。
(エスタンプとはアーティストが版画にすることを意図しないで制作された作品を原画とし、 作者または遺族の了解を得て、版画の技法で第三者が制作したもののことをいう。)

「Girl with a Yellow Headband 黄色のヘアバンドの少女 」pencilとあるだけだが、水彩と思われる。これも制作年不明。

「Kürbis.南瓜 」(1944 Lithograph in colors)(Farblithografie色のリトグラフ) 1944年は58歳の時だが、原画の制作年なのか、リトグラフにした年かは不明。

「Mädchen mit Katze. 猫と少女 」(1975 Farblithografie色のリトグラフ)Nach dem gleichnamigen Aquarell von 1945 とあるので、原画の水彩画は59歳の時に描かれたもの。

「Various Flowers様々な花 」(1939-40. Watercolour on paper )53ー54歳のもの。
いずれにしても、見つかった水彩画は35歳のものが一番若く、あとは中年期以降ではないかと推定される。

これにたいして、ココシュカは若くして独特な油彩画の傑作を世に送り出している。よく知られたこの代表作の2枚も26、8歳のもの。アルマ・マーラー( 写真)との恋が描かせたことは疑いないであろう。
「 Alma Mahler, アルマ マーラー」(1912 油彩)構図、微笑みともまるでモナ リザだ。
「Bride of the Wind,風の花嫁 」(1914 油彩)「風のー」というより「嵐のー」と訳した方がふさわしいほど激しい絵。アルマと別れてから何度か塗り直し、暗くなっているという。

ココシュカニは肖像画にも高い評価の絵があるが、風景画にも傑作が多い。版画もある。

さらに次回(2/2)で水彩画を並べて見ることにする。

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