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柑橘類の話(5) フラノクマリンとポストハーベスト [自然]

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柑橘類は、これまで見たようにバラエティに富んでいて味よし、栄養価高し、香りよし、見た目も美しく素晴らしい果物である。
常緑樹だから冬でも青々として、庭木としても人を楽しませる。東京でも夏みかん類が多いようだが、植栽されているのをよく見かける。

と、良いことずくめの柑橘類だが、以前から気になっていたことが二つある。
その一つはグレープフルーツと薬の飲み合わせである。

5〜6年前から、年相応に高血圧気味で降圧剤ノルバスク(ジェネリック名アムロジピン)の服用をはじめたが、この薬の注意点にグレープフルーツと同時に服むなとある。運転する時も控えた方が良いという注意点と並べて書いてある。
実際にグレープフルーツを食べてもジュースを服んでも、運転しても問題ないようだし、医者も特に何も言わないので、気になりつつも薬の服用を続けている。
降圧剤とは、人により合うものと合わないものがあることを服みはじめに痛感させられた。やっとこのノルバスクに落ち着いた経緯があるので、余り変えたくないこともある。

柑橘類のことをネットで検索していると、このグレープフルーツの薬との相互作用について時折出てくるので注意して読んでみるが、どの程度のものなのかもうひとつ分かりにくい。
グレープフルーツの果肉に含まれるフラノクマリン類(様々な植物によって産生される有機化合物の一種)が、様々な医薬品と相互作用があるという。
相互作用というのは「干渉し、意図しない効果を生み出すこと」であり、一緒に飲む薬と薬、薬と飲み物との関係で、薬が効かなかったり、逆に効きすぎて、身体に悪影響が出ることをいい、グレープフルーツについては、1990年頃に報告されたらしい。

特にカルシウム拮抗剤という系統の高血圧治療薬などでグレープフルーツの影響を強く受けるものがあるという。
その薬とは、高血圧・狭心症治療薬(カルシウム拮抗薬)、脂質異常治療薬、免疫制御薬、催眠鎮静薬、抗精神病薬など多岐にわたる。
 但し、カルシウム拮抗薬の中でも、アムロジピンベシル酸塩やジルチアゼム塩酸塩はグレープフルーツとの相互作用はないとされている。
副作用の種類は、突然死、腎不全、呼吸困難、胃腸の出血などの深刻なものとされていたり、過度の血圧低下、浮腫、頭痛といったものが列挙されていておだやかではない。

さらに、シクロスポリン(抗生物質のひとつ)、ベンゾジアゼピン系(デパス、ジアゼパム ・ホリゾンなど向精神薬)、風邪薬でも主作用、副作用ともに効果が効き過ぎることがあるという記述もある。

自分は20年以上ホリゾン2mg(ジェネリック名はジアゼパム)を服んでいるが、今までグレープフルーツの相互作用を感じたことはない。もともと副作用も少なく依存症にもならないと医者のすすめで服むようになったもので、くすりの注意事項にも記載がなかったように思う。

このフラノクマリン類はグレープフルーツ以外の柑橘類にも含まれる。含有量はグレープフルーツでは品種により、他の柑橘類ではその種類で異なる。温州みかんにはほとんど含有しないとされている。
果皮には果汁のさらに300倍ものフラノクマリンが含まれるとも書いてある。

フラノクマリン類が含まれるものには、グレープフルーツ、晩白柚、ぶんたん(ざぼん)、サワーオレンジ(ダイダイ)、夏みかん、金柑、八朔、タンジェリン(タンゼロン)、甘夏、ライム、レッドポメロ、サワーポメロ、パール柑、三宝柑。

ポンカン、伊予柑には入っていないとされるが含むと考えておくのが無難とも。

フラノクマリン類を含まない柑橘類は、バレンシアオレンジ、カボス、温州みかん、マンダリンオレンジ、デコポン、ネーブル、ゆず、せとか、スイートスプリング、日向夏。
レモンは果皮にのみ含むという。

柑橘類以外ではざくろ、ブラックマルベリー(桑の実)、山ぶどう、ブラックラズベリーにも入っている。なお、りんご、ぶどうには入っていないとある。

さて、二つ目はポストハーベスト問題である。
日本ではポストハーベスト農薬は禁止されているが、海外輸入の物には品質を維持するために農薬(殺菌剤)が使われていることが多いとされる。この農薬をポストハーベスト農薬という。日本では食品衛生法で食品添加物扱いとなる。
日本国内で流通するグレープフルーツ、レモンのほとんどは海外から輸入されたもので、7割近くを米国産が占めている。早くから発ガン物質を含むとして問題になり、消費者の国産果実への人気が高まっている。
果実のみならず海外輸入農産物は増加しているので、この問題が消えることはないが、ともすれば忘れがちであることも事実だ。
日本からの国産果実輸出も奨励され増加していることから、旬の味を維持保存する輸送保管技術が研究され脚光を浴びているが、ポストハーベストの方は、新鮮度を確保する事よりも優先されねばならない大事な問題である。

フラノクマリンにしろポスハーベスト問題にしても、よく理解出来ないことも多いが、直接身体にふりかかる問題である。とくに未来を担うこども、こどもを生み育てる母親などにとっては深刻かも知れぬ。

高齢で先もない老人だからなどと能天気なことを言っている場合でなく、もう少し勉強した方が良いのかも知れないと思う。

絵は柑橘類の習作。本文とは関係ない。
画家はりんごひとつでも数千回も練習する人がいるそうだが、なるほど果実は描いてみると難しいと思い知らされる。
(F6 on Waterford Watercolor and Pastel)

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