冬紫陽花(フユアジサイ) [自然]
例年花の季節はアジサイが終わるとめっきり寂しくなるね、と家人と話す。あとは夾竹桃、百日紅など花の種類も少なくなる。
そのアジサイは6月の雨季の頃に咲くものだと思っていたが、冬の寒い2月から3月に咲く「フユアジサイ」なるものを、散歩中によそ様の庭で見つけてググって知った。
最初アジサイとは思わず不思議な花だなぁと思ったが、撮影した画像(2022/4/15撮影)をよく見れば額アジサイによく似ている。
別名「スプリング・エンジェル エレガンス」とも言われ冬に観賞できる新しいタイプのアジサイだそう。
花は西洋アジサイのように大きく 花弁に見える顎は花径が7~8cmほどある。
ネットによれば、群馬県農業技術センターが台湾のトキワアジサイとセイヨウアジサイの交配によって平成16年に作った品種という。名前にあるように、冬(2~4月)に咲くアジサイ。スプリングエンジェルシリーズの3種類が流通しているという。自分が見たのはたぶんフリルエレガンスと思われる。
交配の片方のトキワアジサイ(常盤紫陽花)は、台湾原産アジサイ。一般的なアジサイと異なり、冬になっても葉を落とさないのが特徴で2、3月ごろ開花する。ほのかに香る。別名カラコンテリギ。タイワントキワアジサイ(アジサイ科タイワントキワアジサイ属)
交配のもう一方がセイヨウアジサイ。
紫陽花には両性花と装飾花という2種類の花がある。
両性花は雄しべと雌しべを持ち、いわゆる花の本体で代表がガクアジサイ、アジサイの原種で日本原産である。
一方、装飾花には大きな花びら(がく)があり、雄しべと雌しべが退化している。こちらがセイヨウアジサイ(ホンアジサイとも)。日本から持ち出されて栽培改良されたものだ。玉、鞠状になる。
一般的に紫陽花の花として認識されているのは、この装飾花のほうである。シーボルトの「オタクサ」などでよく知られる。
自分はアジサイにはガクアジサイとタマアジサイの二種類があると間違って覚えてしまっていたが、タマアジサイでなくセイヨウアジサイ、手毬咲きというからマリアジサイと言った方が当たっている。それがセイヨウアジサイ、本アジサイである。
なお、かつて、このブログで書いた紫陽花の新品種「きらきら星」を作り出したのは栃木県農業試験場だったが、このフユアジサイは群馬県農業試験場という。農業試験場もなかなかやるものだと感心する。
きらきら星
https://toshiro5.blog.ss-blog.jp/2021-06-16
さて、アジサイはガクアジサイ(額紫陽花)とも季語は夏。俳句ではアジサイは鞠状のものを言い、七変化としてガクアジサイと区別しているフシがある。角川歳時記で見るとアジサイ、ガクアジサイともユキノシタ科とあるが、ウキペディアではアジサイ科アジサイ属。どちら正しいのか分からぬ。
花の色がよく変わることから、別名で「七変化」「八仙花」とも呼ばれる。また、四葩(よひら)は俳句で好まれる別名で、葩は「花びら」を表す言葉である。
アジサイと季違となるフユアジサイ
フユアジサイ俳句で詠めば冬四葩(よひら)
余談①
「あじさいの歌」 (石原裕次郎歌、1960年)がある。YouTubeで聞いて見たが、今まで聞いたことが無かった。自分もこの時代青春真っ只中だったのだが。
この歌および生前アジサイが好きだったことにより7月17日の石原裕次郎忌を「あじさい忌」というとか。これも知らなかった。
余談②
たまたまネット画像でガクアジサイによく似た瓊花(ケイカ)という花を見つけた。
「鑑真和上ゆかりのお寺「唐招提寺」では、毎年4月中旬~5月ごろ、中国・揚州の名花「瓊花(けいか)」が一般公開される。隋の皇帝・煬帝が気に入って門外不出とした花で、国内で見られる場所が限られる貴重なもの。ガクアジサイのような花からいい香りが漂う。」とある。
瓊花はスイカズラ科、ガマズミ属。ガクアジサイはユキノシタ科(香りは無い)。
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