猫と庄造と二人のおんな [猫]
文豪谷崎潤一郎である。
偶然だが主人公の猫の名前リリーが我が家の猫の名前リーリーと似ていると知って読み返してみた。
昔は、猫のことなどあまり重視せずに読みストーリーの面白さだけが印象に残っている。
しかし、猫を身近に見ているとこの小説の猫がどんなに良く書けているかあらためて知ることになった。
しかもこの小説の主人公は庄造でも品子と福子という二人の女でもなく猫のリリーだとさえ思えた。
なるほど小説の題名は、猫が一番先にあって中身を表しているのだ。
谷崎潤一郎の文章力は凄い。ぐいぐいと読ませる。しかもこの猫の描写はどうだ。
小説はディテイルで決まるとも いわれるが、猫を飼ってみるとさすがと思う。
むかし、この小説は映画化され森繁久弥が庄造を演じていたと思うが、見たという覚えがない。
きっと適役だったろうなと思う。
歳をとって昔読んだ小説を読み返すと、若い時に初めて読んだ時とはまた違った味を楽しめると良く言われる。
漱石や鴎外などを読み返して見ようかと思うこの頃である。
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