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エッセイを読む愉しみ [本]

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エッセイを好んで読む。
選び方に決まりはなく、近所の阿佐ヶ谷図書館の棚で手に取り、目次と奥付けをみるだけその日の気分で借りてくる。たまに読みたい本があって図書館のHPや図書館での検索して探したりするが、ごく稀れである。

2度借りを良くするので、備忘のために本の題名と著者、出版社だけPCに記録している。借りて来て途中まで読んで、なんか読んだような気がするなと思って、検索するとたちどころに判明する。

 時々その記録を見ると、読むのはやはり小説家の書く随筆が一番多い。
 本業の重たい小説を書く合間にでも書くのやら、と思うと読む方もなんとなく気楽だ。めったには無いが作品に取り組む姿勢や書きたかったことなど、創作の機微に触れられたりすることもあり、運が良ければときどきそういった面白い文章に出合う。何よりさすが作家だから文章が読み易いのが頭の固くなった年寄りには有り難い。

 エッセイを書くのは、何も小説家や詩人など言葉のプロばかりでは無いのは言うまでもない。大学教授、医師、画家、サラリーマン、主婦。あらゆる職業、というより全ての人が書く。まれに俳優など背後にゴーストライターを疑うようなものも・・・無いとは思うが、読んだことが無いので分からない。

 エッセイの中味と書き手の職業に強い関係があるかといえば、それは無い。しかし、雑誌などのコラムでは、良いエッセイを書いているこの人の職業はなんだろうと気になることはしばしばある。しかし匿名のコラムやエッセイを読むことは少ない。作者名を見て必ず本を選択している。従って、どんな職業の人か分かっていて読むことになる。大勢の人が書いているエッセイ集でもたいてい最後に肩書きが書いてあるのが普通である。

 教授が教育について、医師が医療を、画家が絵画を、サラリーマンが会社を、主婦がハウスマネジメントをテーマにエッセイを書けばさすが、知らないことも多く確かに「読ませること」を書く。読者は自分の生活と違ったもう一つのバーチャルな生活、世界を楽しめる。
 しかし、本業や生活、そのたつきをまったく感じさせない随筆の中に面白いのが多いのもまた事実である。その意外性を思い知らされることも多い。これはこれで興味深いことだ。

 さて、思い出してみるに通勤電車のなかでだったけれど、自分が最初に面白く読んだのが、作曲家、団 伊玖磨「パイプのけむり」。アサヒグラフに掲載されたそうだが、読んだのは単行本だった。何せ博識と独断にも近い見識。若かった自分からみて、えらく格好がよかった。
 題名に「続々」とか、「またまた」とか付け加えて長い間にわたって出版された。結局全部読んだと思う。

 随筆はこのように新聞、雑誌、タウン紙、企業PR誌、機内誌などに掲載されたエッセイが纏められて単行本になるのがほとんどだが、なぜか単発のそれと纏められたものとは微妙に違うような気がする。有能編集者のマジックか、複数のテーマがあり、前の方が後の方に影響するのか。
 ずっしりと手に重い本のページめくりの楽しさ、洒落た美しい装幀も関係ありそう。こればかりは、電子書籍では味わえない。

 阿川弘之、岸田 秀、山本夏彦、多田富雄、池内 紀など自分より年上あるいは同年配の随筆の名手の方がどちらかといえば、若い人の書いたのものより多い。テーマも「老い」が多い。年齢のせいだ。

 女性にももちろんエッセイ上手が多く、テーマや関心の対象に男性とはまた違いがあるような気がする。やや少なからず動機不純であるが、その違いを知りたいこともあって読む。白州正子、柳澤桂子、最近では佐野洋子などなど。

 加齢に伴い、読む随筆の書き手も前に読んだりして、つい知っている人ばかりになりがちで、絵や詩歌などどうしても日頃自分の興味、思考に沿ったものを無意識に選ぶようで、明らかに偏りが目立つ。かつそれが最近とみに強くなる傾向にある。早くいえばマンネリ化しているので、脱却をしきりに家人から言われている。そうしなければなと思う。
 それにしてもエッセイスト,コラムニストという肩書き、職業もあるようで、何やら良い文章と面白い話が聞けそうだが、余り読みたい気が起きないのはどうしてか。

 エッセイとコラムの違いもわからず、楽しく良く読むわりにはすぐ中身を忘れてしまうくせに、われながら性懲りもなく飽きもせず読むものだなとしみじみ思う。なぜ、こんに愉しいのだろうか。

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