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あたりまえは強い [随想]

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 かつてロータリークラブに入れてもらったことがある。大分で昭和57年から2年間、福岡で平成元年から1年間、大阪では平成7年から2年間の3 度である。
 もうずっと昔のことになるが通算すれば5年間だから貴重な経験だったといえよう。いずれも転勤先で前任者の後を引き継ぎ後任にバトンタッチしてきた。つまり入会は転任地で早く地域の人と親しくなれるようにという会社の知恵である。
 確かに地元の著名人や会社のトップの会員が多く仕事では何かと便利ではあった。
 クラブは職業奉仕(会員の職業倫理を高めること)と、そこから広がる社会奉仕と国際親善を目的とするものだからややその精神からするとそぐわないが、支店といえども職場が現にあるので地域の人にとってもなにがしかのメリットがあるとみえて、長い間続いて来ていた。いま、どうなっているかは知らない。たぶん続いていると思う。
 ロータリークラブ(Rotary Club)は、国際的な社会奉仕連合団体「国際ロータリー」のメンバーズクラブである。最初のクラブが例会場所を輪番(ローテーション)で提供しあったことから「ロータリー」の名がついた。シンボルエンブレムといっている車輪のマークはこれに由来する。  しかし、いまや例会はおそらくほとんどがホテルなどで開催されている。
 メンバーはクラブにおいて1業種1人が原則であったが、現在その縛りは緩められているようだ。同じようなものにライオンズクラブというのもあるが、全く知らないのでどう違うのかもわからない。
 実際に入会してみると例会出席が厳格であることに驚く。例会はランチをたべながら1時間ほどだが毎週である。仕事で忙しい人が多く皆苦労する。出席出来なかったときは所属外のクラブに行かねば基準の出席率を確保出来ない。しかしこれがゆるゆるだとかえって結束を弱めるのかもしれぬ。
 入会したときなど自己紹介を兼ね卓話と称するテーブルスピーチをさせられたりするが、例会では人の卓話を聴いているだけのことが多い。異業種の、それも中小企業主などの話に時折り面白いものがある。知らないことを聞くこともしばしばで、仕事上の客との四方山話に使わせてもらったりした。
 ロータリークラブは1905年シカゴで発足し、200以上の国と地域に33000近くのクラブを擁し、会員数は120万人以上とされる。
 日本では1920年、当時三井銀行の重役であった米山梅吉(この人は信託銀行の創始者でもあったという)が東京都に日本初のロータリークラブを作り世界で855番目のクラブとして認証されたのが嚆矢で、現在クラブ数2,302、会員数88,270人(2011年6月末)という。
 基本的には個人の資格で会員となり、会費もポケットマネー。だが法人が経費で落とすというのもあろう。
 いまになると、このシステムは、組織論的にはどういうことになるのか知る由も無いが、それなりに良く出来ていると思う。そうでなければ宗教や政治的な裏付けもなく多くの国で受け入れられ長期にわたって持続しない。 長い間、広い地域において続いている理由が何なのか興味深い。

会員の行動基準として「四つのテスト」The Four-Way Test"がある。
言行はこれにてらしてから "Of the things we think, say or do"
真実かどうか "Is it the TRUTH ?"
みんなに公平か "Is it FAIR to all concerned ?"
好意と友情を深めるか "Will it build GOODWILL and BETTER FRIENDSHIPS ?"
みんなのためになるかどうか "Will it be BENEFICIAL to all concerned ?"

 これがいわば組織のバックボーンであろう。一言で言えば善意そのもの。性善説だ。世のため、人のため活動する。とくに弱者に優しい。
考えてみるとこの基準はみな当たり前なことである。しかしながら、当たり前が一番強いのかもしれないとも思う。当たり前が通りにくい昨今、貴重な行動基準かもしれぬ。
 もうひとつ、これもアメリカ的だが「官」の影が薄く民間人主導ということがあるような気がする。雰囲気が何とも明るいのだ。
 よくテレビや新聞紙上などで見る大会社の社長や大学教授、学者などがみなタスキをかけ、会の歌を歌い、和気あいあいとして午餐のテーブルにつきニコニコ顔していたことを思い出す。失礼ながらまるで子供のようだなと思った。
 今はやりのソーシャルネットワークなどと似ているところもあるが、行動基準を持っているだけに紐帯はこちらの方がよほど強かろう。しかも一途に世のため、人のため活動しているのだからよほど強力な気もする。尤も今のソーシャルネットワークと比較しても詮無いことであまり意味も無いようだが。
 あるときチャリティー家族会が開催され、家人と参加した私が籖で沖縄旅行を当てて、それを楽しんだことがある。そんなことがあったりしたからか、ロータリークラブには総じて悪い印象はないけれども、人はなぜこういうものを求めるのか分からないものが残ることも否めない。多くの人が求めるものは上掲の「当たり前」だろう。その当たり前のものをロータリーでは、真実、公平、好意と友情、みんなへのべネフィット( 利益、恩恵、慈善)という。 それらの言葉の持つ本当の意味、中味が何かそれを知りたいものだとあらためてしみじみ思う。

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