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はじめてパソコンを買った頃の話 [PC]

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PCを最初に買ったのは1996年(平成8年)、大阪で勤務していたときで56歳であった。機種はノート型で「アキア」、OSはWinndows95である。すでに仕事は事務担当から離れていたが、興味はパーソナルな機器としてどこまで仕事に使えるようになるかということにあった。自分で買えば、いやになってもすぐに投げ出したりしないだろうという思惑もあった。
早くからPCに興味を持ち、購入して活用していた若い同僚の一人に相談すると、今買うならNEC、東芝FMV、もしくはアキアと教えてくれた。アキアは当時工場を持たず「アッセンブリー組み立て」をするベンチャー企業の話題の製品であった。何故、自分がその時アキアを選んだのかは覚えていない。

当時NECのPC-9821シリーズ(1992年から)、東芝のPC/AT互換機FMV(1993年から)など次々と新製品が発売されていた。新聞やTVのニュース番組で大きく取り上げられたので新規のパソコンユーザーが急増した時だった。大阪にも専門の量販店が出現していた。
1991年にWindows 3.0が発売され、Windows 95の発売が開始されたのは1995年だから、わがはじめてのPCのOSは発売されて間もない製品だったことになる。

CPは歴史的にみると、先進国アメリカで1970年代に個人で使える情報処理装置としてIBM やヒューレット・パッカードから卓上型のコンピューターが発売されていたが、高価で個人はもちろん大企業でも限られた部門で購入できたに過ぎなかった。
アップルコンピュータを興した、かの高名なスティーブ・ジョブズが1976年に、ワンボードマイコンのAppleを発売 、大成功して同社の今日の基礎を作った。同時に米国をはじめとして、パーソナルコンピューターの普及を急速に進めた。
1990年代にはパーソナルコンピュータのネットワーク機能が充実し、フル機能のUNIXが登場するようになってワークステーションとパーソナルコンピュータの違いは小さくなっていた。

翻って我が国では、1981年に日本製初の16ビットパソコンが三菱電機から発表されるが、コンシューマー向けに意図されたものではなく、一般にはほとんど普及することはなかった。
この頃、パーソナル・コンピュータは略称で「パソコン」と呼ばれるようになる。「オフコン」、「ファミコン」は、死語になりつつあるが「パソコン」はその後、一般的な代名詞になり、今でもそのまま使用されているのは「パーソナル」が定着した証左であろう。

上記の通り、わが国で個人向けPCが普及し始めたのは、1990年代以降である。企業では大型CPUからダウンサイジングへの流れの変化の時期と期をいつにしていたと思う。それは仕事で一時大型コンピューターを中心とするコンピューターセンター、バックアップセンター建設に関わる仕事をした経験からくる自分の実感である。CPUの大型化かダウンサイジングを配慮すべきかの議論をした覚えがある。

マイPCをはじめて購入した1996年は、一般的に言って早かった方でもないが、、多くの企業でも一人一台とまで普及していない時期だから、それほど遅かったわけでもない。
この頃のPCは、MSオフィスプロをインストールして主にワードプロセッサ、表計算ソフト、データベースなどのいわゆる「オフィスアプリケーションを利用するツール」として普及しつつあった。

メールやインターネットのほかは、仕事に役立ちそうな面白いアプリケーションソフトの情報交換を若い同僚たちとしてPCに馴染もうとした。しかし、残念ながら頭が既に固くなってきていることは歴然とした事実で、ソフト、ハードともに、若い人について行くのは大変になってきていたことも、しばしば思い知らされた。頭はまだまだ柔らかいと強がりを言っていたが、事実は事実として認めざるを得ない。

その後、わがアキアが期待に反しすぐ壊れ、携帯型を含めてバイオノートを3台潰し、いまは東芝のダイナブックを5台目の愛機としている。OSはWindows Vista、7は評判必ずしも良くはないのでグレードアップを控えている。98からXPなどを飛ばしてVistaになったのは、ながいこと98に振り回されたことを物語っている。この間なんと16年が経過したことになる。
最初に相談した若い同僚には、平成12年のリタイア後もいろいろ教えて貰い大いに感謝している。しかし、自分の場合は側に息子がいて、助けてくれたことが長く続いた最大の理由だ。
セキュリティやバックアップ、最近ではWiFi接続、アプリケーションソフトのフォトショップなどの使い方に至るまで、タオルを投げて救って貰ったことは数度どころではない。多分そばにすぐ聞ける人がいなければ意志薄弱の徒は挫折必至、PCをとうに投げ出していただろうことは明らかである。

初めてPCを買った頃を思い出し、ながなが「マイPC16年史」を辿ったのは、古希を過ぎたる自分の年齢層でPCを玩具にしているのは、たぶん少数派ではないかと思うのであるが、これからの高齢化社会ではPCのはたす役割は、老人にとっても大きいのではないか、という点に興味があるからだ。

当時の自分も、面倒だし、道具と考えればなにも自分が操作しなくともという気もしたから、多分同世代の皆んなもだいたい同じ考えだったのではないかと思う。ゴルフを楽しんだ方がよほどましだ、と考えた年齢である。勿論なかには例外もいただろうが、これもハード好きなどマニアックな一握りだったに違いない。
だから同世代のリタイア組に聞いてみれば、PCなどよりもゴルフ、農業、読書、海外旅行などを老後の楽しみにあげる人の方が圧倒的に多い。
「PC?、あれはむやみと時間をとられる。眼も疲れる、運動不足にもなる、第一ハード、ソフトとも進歩が速すぎて利用が追いつかないだろう?、年寄りの冷や水だね、敬遠にしかずだ」という人の方が多いのである。
自分は今、PCで遊んでいるだけだから、偉そうなことは言えないが、たしかにPCの恐るべき能力のほんの一部を使用しているだけであろうということは実感している。また眼も疲れるなどいちいちその通りではある。

今思うと自分がPC嫌いにならず、曲がりなりにも楽しんでいる一番大きな理由は、最初にa、s、d、f…とブラインドタッチの練習をしたことによるような気がする。これは前にも何処かで書いたような気もするが、これから始めてみようかと思っている高齢者もいるだろうから、その参考になるやも知れぬのでまた書く。
あれをしなければ今頃「PCなど時間ばかりとられ、やるのはアホだ」などと嘯く側にいただろうという確信のようなものがある。
むろんiPadで証明されるように、いまや一本指でも十分であり、ブラインドタッチの必要性は限りなく小さくなっているから状況は一変しているが。

さて、いまは1年9ヶ月前にiPadを買い、CPとセットで遊んでいる。おかげで退屈ということがない。尤もやっていることと言えば、ホームページとブログと習っている水彩画を描いている途中のものを含めて写真に撮り、絵の出来具合を見たりするくらいのもので文字通り趣味の域を出ない。ネットショップ、e-Tax、電子書籍(製本)などにも時折り使っているが、まだまだ近年のPC技術の進歩を考えれば、勿体無いような使い方であろう。

しかし、自分より10歳くらい下、その前後の人たち、つまり団塊の世代で、まさに今定年世代真っ只中である人たちにとっては、これらの事情がおおいに異なるだろうと容易に推察できる。
団塊高齢者群はPCを持って、老後の生活に入ると云っても差し支えない。多分それはわが国でも、「高齢化社会における新しい時代の未知の経験」に違いない。趣味に生きようとする者、社会活動に進もうとする人も、第二の職場で活躍する人も皆等しく事情は同じだろう。
現役の時に散々苦労したからこの際さっぱりと、ITもPCも捨てて新生活に入るという人もいるだろうが、好むと好まざるとにかかわらず、多くの人はCPを抱えて新しい第二の人生を歩み始めるのではないかと想像する。

これからの人間(とくに老人)と機械(とくに情報機器)の接点となるインターフェイスの技術の急速な進歩は、新時代の老人のPC活用、駆使におおいに寄与するに違いない。
老人でも使いやすいiPadの出現は(オールド)マン・マシーン・インターフェイス進歩の良い一例であると思う。軽い、画面(字)が大きく鮮やか、起動が速い、寝転がっても操作可能等々の扱い易さである。これで眼が疲れなければもっと良いのだが。
iPadに限らず携帯型情報端末機、スマートフォンの進化もあり、老人であっても仕事に、趣味に、社会活動にその活用の場は広範囲にあり、それが活躍するシーンはこれからも増え続けるだろう。

わが国のメーカーはこのことをもっと重要視すべきである。米国などに遅れをとったと思うのは自分だけではなかろう。パソコンと情報端末の分離、つまり老人はパソコンは持たず専門家に委ね、基地として利用出来るようにするなどの新しい発想も必要ではないか。いまのクラウド、セキュリティ技術をもってすれば実現可能性ありと思う。PC不要は老人には朗報だ。
またわがささやかな経験からすると、老人向けのお助けマン、ヘルプデスクが気軽に利用出来る仕組み、操作や活用法のついてのラーニングというか研修システム、そういったものがあると助かる。そのための若いボランティアの組織化なども即効性があり役に立ちそうだ。

こういうサポートのシステム化は行政のなすべきことかもしれぬが、行政は増え続ける介護の仕事で手一杯 なのである。噫。
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