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かぼすの実 [随想]

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今年は暑かったからか、かぼすが150個以上も実をつけた。奇数年で表作との説もあるが、昨年の倍以上の数になる。かぼすは近所の人や知人に配るにしても、最近はスーパーにも並ぶので特段珍しい物でもないし、使い道があまり無いので2、3個ずつだから、はかがいかない。
昨年の失敗にも懲りず、今年は食用クエン酸を買ってきてかぼすマーマレードに挑戦したが、またまたあえなく失敗。レピシどおりに作るのだが、ペクチンが少ないのか固まらない。
秋刀魚や刺身にかけたり、かぼす焼酎としゃれても使う量はたかが知れている。ある時牛乳に搾ってみたら何やら底に白く凝固した。テレビで北海道の酪農家が牛乳に酢をゆっくり入れると、美味しい牛乳豆腐が出来ると言っていたのを思い出した。今年のかぼすは、大きくてジューシーなので酢の代わりにかぼすを入れたら、豆腐になるかも知れぬと思う。我ながら良いアイディアだと思うがまだ試していない。

猫額の庭のかぼすは、もう40年以上も前に「大手町花の市」で苗木を買い植えたもので、今や太さは人の腕くらいだが、高さは2メートルをゆうに超える。
大手町花の市というのは、毎月一回農協ビルの軒下で埼玉や東京の植木業者が花卉や苗木を売っていた催事である。しばらく花も実もつけなかったが、5、6年前から沢山白い花が咲くようになった。
植えた直後に大分に転勤し2年間住んだので、かぼすにはとりわけ愛着があって大事に育てて来たのである。
かの地では当時一村一品運動なるものに熱を上げていて、竹田や臼杵のかぼすはその代表格であった。なかでも二階堂やいいちこなど乙類の麦焼酎にかぼすを搾って飲むのが、飲み助にもてはやされ、東京にも「カボチュー」と称して知事が売り込んでいたのである。我が家のかぼすは、この大分産にひけをとらぬ立派な出来だ。

今年は水戸に住む義兄にかぼすを送りカボチューを紹介したら、奥様と一緒にさつま白波で試してvery goodとメールしてきた。社交辞令もあるにしても、でしょ?と嬉しい。
フィットネスで会う、湯布院出身のバーのママさんに、かぼすはジンに合いますよと言ったらジンライムがあるからいいかも、こんど試してみますとおっしゃった。考えてみれば先様はプロ、あるいは先刻承知だったかもしれない。
ジンはストレートでなく、ジントニックにかぼすを搾って現役の頃よく飲んだ。ジンは焼酎と同じようなものだから、なかなかにオツである。

かぼすは、柚子、檸檬、ライムなどと同じ香酸柑橘類。似たものに徳島のすだち(酢橘)、鹿児島のブッシュカン(仏手柑)などがある。高知にブシュカンというのがあると聞いたことがあるが、鹿児島のものと同じかどうか知らない。
一般的には、かぼすよりすだちの方が和食、それも懐石など高級料理に使われ良く知られている。生産量も多いだろう。たしかにこちらの方が少し小振り、繊細で上品、酒などには入れたりしないのではないか。

かぼすは、ミカン科 。学名Citrus sphaerocarpa 。生産高は大分県5019トンでダントツ、ついで愛媛県144トン(2007)。
意外と歴史は古く1709年(宝永7年)に刊行された貝原益軒の「大和本草」にも、「カブス」についての記載があって、その名の由来は、「柑子」(かむし、かむす)が訛ったものとも、乾燥した皮をいぶして蚊よけに用いるからとも記されている、とウキペディアにある。

俳句歳時記では、「酢橘(すだち)」、「かぼす」は秋。「ミカン科の常緑低木の実。柚子の近縁種で果実は小さい。8~10月ごろ、まだ緑色のうちに収穫し、汁を搾って料理に味と香りを添える。別種にやや大形のかぼすがあり、やはり料理に添える」と説明がある。

かぼすの例句は鷹羽狩行
年上の妻のごとくにかぼすかな

なぜ年上の妻なのか、分かるほどの俳句感性に乏しいのは残念。

我ながら駄句と思うが、自分としてはこんなところがせいぜい。
ジンフィズにかぼすしぼらむ佳き日かな 杜詩郎

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