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10年目の浮気 [絵]

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なにごとによらず、浮気はしないほうだと思う。ひとつのことをやると、やり方などを変えるのがおっくうなたちだ。習い事では良いことか悪いことやらわからない。
しかし、今回はじめて、ほかの水彩画家のレッスンに参加した。9年も一人の先生に教えて貰ってきたが、はじめて浮気をして見たのである。10年目の浮気だ。

カルチャーで水彩を習い始めて間もなく、どうも上手くならないので教室を変えたらどうかと考えた。しかし、まぁ、絵は自分しだいだし、変えて画友と別れるのもいやだなとそのまま続けた。描き続ければ、そのうちなんとかなっていくかもしれないという根拠のない、願望である。その頃
筆折らん花半開の甃のうえ
という駄句をつくったからかなり参っていた。
駄句を解説するのも銓無いが、最も美しいという半開の桜が石の上に咲いているのを、絵に描こうとするがとても手に負えなくて、もう描くのをやめようかと思っているさまを詠んだつもりー残念ながら句意を分かってくれる人はいないだろうがーである。甃のうえは、石の上にも三年を込めた。圧倒的に独りよがりの句。

それからずっと水彩は奥が深い、などと言いつつ、描いても描いても上手くならないとズルズルと時間が過ぎた。

8年目にまた
水彩を習いて8年枯れ蓮(やれはちす)
という駄句をつくった。やや、やぶれかぶれの気持で開き直っている。

この頃書いたブログ記事は、「わが至福の時間」と題し、上手くはならないが絵を描いている教室での2時間半は至福の時間であるという趣旨であった。

http://toshiro5.blog.so-net.ne.jp/2012-03-27
上手くなることより画友との交流、健康のためという方が優先している。

そして、ついに今年(平成25年)10月から10年目に入ったのである。10年目というのはすごい。10年ひと昔、decade 、失われた10年などという言葉が頭をよぎる。学制でいえば小(6)、中(3)、を終えて高校生だ。

絵をHPにアップして、それをPDF化し画文集「かくもながき愉しみ」として電子本を作って眺めている。その絵の説明はほとんどぼやきばかりである。やったぁ、というのはまずない。

http://toshiro5.blog.so-net.ne.jp/2012-02-15

さすがに、1年ほど前から「何だか変だぞわが水彩」と思い始めてネットでほかの教室の先生の描き方や、YouTubeなどで海外の水彩画家のデモなどを見た。

http://toshiro5.blog.so-net.ne.jp/2012-12-12

そして自分がいままで描いてきたのは、色付き素描であることにやっと気づいた。
むろんいろんな水彩画があるから、それがダメということはないがほかの描き方も試みる価値はありそうと考えた。8年もやって来たことを変えるのは、自分の絵を潰すことにもなるおそれはあるが、やって見ようと思ったのである。
教室や先生を変えても、結局たいして変わらないだろうから自分の描き方を変えてみたらどうか。またまた根拠の無い(もしかすると良くなるかも知れないという)願望だ。

描き方を変えて1年ほどたって、はじめてマスキングの講座に参加したのである。
先生は男性の水彩画家、若い。30名ほどのスポット講座で時間は3時間。プロジェクターも使いデモもやりながらの分かりやすい説明で、持っていた全ての疑問が解けた。
マスキングは使わない方が良い。技術は大事だがもっと大事なものがあるという教えもよく分かりその通りと納得した。
マスキングは水彩をやっている皆さんが苦労していると見え、数回行われる同じ講座はあっと言う間に満席になったとか。
マスキングに象徴されるがほかの水彩技術も同じこと、マスターすれば表現の幅が広がる。
マスキングは紙の塗り残しを効率的にするためのものである、と先生もおっしゃる。それ以上でもそれ以下でもないと自分も思う。

裏技、小技として嫌い、 使うなという先生もおられるようだが、狭量というものであろう。

ぼかし、にじみ、スパッタリング、リフティング、ウェットインウエット、ソルトなどと同列である。使いこなせれば、線画に色をつけるだけより楽しさが増えることは間違いない。
若い先生は水彩ももっと自由にとおっしゃる。油彩なんかもっと多彩な技術を駆使しますよね、とも。
ターナーやクレーもありとあらゆることを試していると何かで読んだことがある。
アマチュアも何でもやって楽しめば良いのだ。

終わってから、先生の絵は建物、窓などまっすぐな線がありますが、溝付き定規は使いますか?とお聞きしたら、鉛筆では定規を使うこともありますが筆では使いませんとの答え。アントニオ ロペスなどは使っていますね。水彩も何でもありですよ、と教えてくださる。ただ何を使ったかわからないように使うのが良いですねとも。マスキングも同じことのようだ。

画家に定規を使うかなどという質問は、ある意味たいへん失礼なものだが、にこやかに答えて下さったのは相当人間ができていると見た。
浮気も時により役立つ。また機会があればネットで探して参加してみようと思う。悩んで壁にぶつかった時に、適切な講座があればきっと役立つような気がする。

スポット講座の弱点は画友が出来にくいことであろう。よってマンネリながら週一講座の良さも捨てがたい。それも再認識した10年目の浮気だった。


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