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ジョン・セル・コットマンの水彩画 [絵]

ジョン・セル・コットマン(John Sell Cotman、1782 - 1842 )は、イギリスの水彩画家で19世紀初頭に活躍したイギリスのノリッジ派の一人である。
ノリッジ派とは1803年絵画,建築,彫刻の進歩向上をはかることを目的として東部(ノーフォーク)のノリッジ美術家協会に集まった芸術家たちの一派。
コットマンは、ターナーやコンスタンブルなどとともにイギリスロマン主義を代表する画家の一人。ロマン主義は従来の古典主義が様式の美を重視したのに対し、人間の内面や情熱を前面に押し出す作風を特色とする。

ジョン・セル・コットマンはターナー(1775-1851)より7歳下だが、ターナーより先に亡くなっている。
少年の頃から絵が好きだったコットマンは16歳の時にロンドンに出て絵を学んだ。数年年長のガーティン(1775‐1802 27歳で夭折したターナーのライバル )とも交友があったようで、初期の絵にはガーティンの影響が見られるという。
画家として成功し、ロンドン大学キングズカレッジの教授(美術)になるが、晩年には持病の鬱病が悪化し、絵も暗くなり、誰にも注目されることなく、60歳を前に亡くなる。
しかし、20世紀に再び評価され、一時はターナーをしのぐほどの名声を得る。

コットマンの水彩技法は、コントラストの強調により明るい対象を際立たせる手法である。
代表作「グレタ橋」にも見られるように、コットマンは明るい部分の周囲を暗く塗ることによって、主題となる対象を浮かび上がらせるー今でいえばネガティブペインティングーに特色がある。

日本のマルマンとイギリスのウィンザーニュートンの「コットマン」水彩紙はこの画家名からきているので水彩を描く人にはお馴染みの名前だが、紙に付けられた詳しい由来は知らない。自分はまだこの紙を使ったことがない。

コットマンの絵を制作年、正確な原題、マテリアルが不詳なのでアトランダムに並べた。
絵をじっくり見て、何か一つでも参考になるものがないか探そうと思う。

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「グレタ橋」(1806)代表作。
「ドロップゲート」(1806)31歳の作品。エッジを暗く塗ることによって、主題となる柵の部分の一本一本をくっきりと浮かび上がらせる。ネガティブペインティングである。
「スクリーン ノリッジ大聖堂」画面の下から上に行くにしたがって明るくなる。
「滝」右下に落ちる滝が印象的。構図が独特。
「ドロップゲート」1806年のものと同じ場所か。油彩のように重い。水彩であれば木などに何かメディウムを入れたか。
「セント·ベネットの修道院」風車であって修道院に見えない。
「廃屋」グレタ橋の色調ながら、点景に人物が描かれて雰囲気が変わっている。

image-20140126191657.png

「夕方 ダンカムパーク」池面に映る小さな空が、光を良く捉えている。
「株式の上昇」カリカチュア風で、風景画家としては珍しい。風刺画か。
「ロケビーグスト公園内」アマチュアにも参考になる描き方だ。
「高山峡谷にかかる橋を渡る旅行」ターナーの「The Devil's Bridge 悪魔の橋、サン・ゴッタルト峠(1802 油彩)と同じ題材。当時の画家が好んで描いたのだろうか。水彩ではないが面白かったので。
「合唱団の北通路のノリッジ大聖堂内部」
「教会内部のスケッチ」上掲と同じモチーフだが極端に違う。こちらは抽象的ですらある。
「水道橋」代表作「グレタ橋」の手法。
「ビショップの庭で」 絵の具に何かを入れたようだ。コットマンは後年になってメディウムにライスペーストを用いることによって、油彩画のような効果を得ようとした。しかし、その結果水彩画の長所である透明性を失ってしまったといわれる。その典型例のように見える。
「ウォルシンガム修道院で食堂」これもネガティヴペインティング。後ろの暗い森が建物を浮かび上がらせている。
「ミセスジョン売るコットマン」この題名では、肖像がミセスジョンなのかコットマンなのか分からぬ。多分前者だろうと想像するが。
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