エドゥアール・ヴュイヤールのパステル画

エドゥアール・ヴュイヤール（Édouard Vuillard 1868 -1940 72歳で没）は、19世紀ー20世紀のフランスの画家。モーリス・ドニ、ピエール・ボナールらとともにナビ派のひとり。

ゴーギャンを中心としたナビ派は、写実主義（レアリスム）を否定し、芸術の装飾性を主張したが、ヴュイヤールの画面は、他のナビ派よりもさらに平面的、装飾的傾向がつよい。室内情景など、身辺の題材を好み、自らを「アンティミスト」= 親密派と称した。ポスト印象派とも。
生涯独身、酒もたしまず穏やかな人柄で渋い色調の絵を描いた。

代表作「寝台で In Bed」（1891油彩）「公園 The Public Gardens , The Nurses,The Conversation and the Red Umbrella 」（1894糊入り絵具Distemper on Canvas ）、「おｏThe Stripes Blouse」（1895 油彩） など。
ヴュイヤールのパステルも同様で穏やか、渋い絵、彼の油彩とそれはなんと似ていることか。

ヴュイヤールのパステルは、油彩の下絵として描いたというものがなさそう。パステル画として描いたものが多いように見える。サイズもかなり大きいものもある。




「Silver Trees」（ 1907 パステル）
「The Vestibule at Saint Jacut de la mer」（1909パステル）Vestibuleは前庭、玄関。62.8×51.5cm。
「Self Portrait 自画像」（1889-90 oil）
「Sacha Guitry in His Dressing Room 」（1912 パステル）74.9× 97.5cm。
「The Studio 」（1913 パステル）
「Sea at Sunset ,Women on the Shore海の夕日、岸辺の女性」（ 1914パステル）
「Madame Losse Hessel in Vuillard's Studio 」（1915 パステル）
「Woman in Front of the Fireplace 暖炉の前の女性」（1915 パステル）
「Still Life with Flowers 花のある静物」（1921パステル）



「Le Parc des Clayes」（1910 パステル）
「The Morning Cup of Tea 朝の紅茶 」（1930パステル）
「At The Window 窓辺」（ パステル）70×54cm。
「Interior Yellow and Blue ,Cat and Child」（ Date Unknown パステル）61×61cm。よく見れば猫と子供が。
「Madame Miriam Fried,the violist 」（Date Unknown パステル）
「庭」（ 1918頃 パステル 紙）
「ヴァティミル広場 」（グワッシュ パステル）
「Mother and Daughter 母娘」（1892 チャコール パステル）

ヴュイヤールの画集を見ていると、水彩画は見当たらなかった。そのかわり、上記の「公園」もそうだが、テクニック・ディステンパーというのが出てくる。
パステルというより水彩に感じが似ている。調べてみると、
「膠絵具（distemper ディステンパー、仏語デトランンプ）は、主に、膠とよばれるゼラチンの粗製品を固着剤に用いた絵具。日本画の岩絵具は展色材の混ぜられていない顔料であり、水に膠を溶かしたものに溶いて用いる」とある。



「Woman Reading 読書する女性」（1909 distemper on paper）
「Woman in a Red Corset赤いコルセットの女性 」（Date unknown Distemper on paper laid on Canvas ）

ほかのナビ派も使った画材なのだろうか。装飾性を重んじるヴュイヤールに似合う、と思うのは素人考えか。

パステルの名手でもあったオディロン・ルドン（1840ー1916）による「エドゥアール・ヴュイヤール」（1900 リトグラフ）。ルドン60歳、ヴュイヤール32歳のとき。

魅力的なルドンについては、すでにこのブログで書いた。下記参照。
オディロン・ルドンの水彩画
http://toshiro5.blog.so-net.ne.jp/archive/c2301326509-1

オディロン・ルドンの水彩画その2
http://toshiro5.blog.so-net.ne.jp/2013-10-09

タグ：ナビ派 アンティミスト」= 親密派 テクニック・ディステンパー オディロン・ルドン