So-net無料ブログ作成

「ユトリロとヴァラドン展」へ行く [絵]

「母と子の物語 スュザンヌ・ヴァラドン生誕150年」と題した「ユトリロとヴァラドン展」を見に、新宿西口にある損保ジャパン日本興亜美術館(〜6.18)へ行ってきた。
用事のついでであるが、体調芳しくない割に、このところ美術館詣でが多い。なぜか風雨強し。高層ビル風が吹き、会場のスカートビルに着くまでにびしょ濡れになった。

丁度シュザンヌ・ヴァラドンのパステル画をネット画集で見ていたので、もしかしたらと思っていたが、期待に反してスケッチパステルが二枚あっただけ。残念。

「自慢の愛犬」(1908色鉛筆 パステル13×18cm)
「試着」(1916木炭 パステル61×46.5cm) パステルはほんの一部分にブルー一色のみ、色は参考にならない。パステルのこういう使い方もあるんだ。後で思い出すよすがとするのだろう。

その代わりユトリロは、油彩画の他にグワッシュを数枚見ることが出来て、ラッキーだった。ユトリロの場合には、グワッシュ(不透明水彩)はなんと油彩に出来上がりが似ていることか、とあらためて感じ入る。

「サンピエール教会の奥殿、モンマルトル」(グワッシュ1924-6頃37×50cm)
「モンマルトルのラパン・アジル」 (グワッシュ1927 50×64.5cm)
「アンリ4世の茅葺きの家、雪のヴァンサン通り、モンマルトル」(グワッシュ1936-8頃36.5×50cm)
「シャルパンティエの兵舎、ソワッソンコメルス通り(エヌ県)」(グワッシュ1946-8 38×55cm)

「シャルパンティエの兵舎」のポストカードがあったので、買って帰った。この絵は白グワッシュを使っているのが、素人(自分のこと)にも参考になる。

シュザンヌ・ヴァラドン(Suzanne Valadon, 1865- 1938 72歳で没)はフランス、モンマルトルの画家。画家になる前は、ルノアールら著名な画家のモデルでもあった。画家モーリス・ユトリロ(Maurice Utrillo, 1883 - 1955 71歳で没)の母である。

ヴァラドンの絵は、力強い太い線を使って男性的、色彩も明るい。むろんデッサン力は高い。一方のユトリロの絵は周知のように静かで穏やか、母子入れ替わってもおかしくないくらいと思うのは、偏見による狭い料簡か。

ユトリロは、風景画をたくさん描き、点景としての人物しか描かなかったが、母のヴァラドンの作品は、主題の多くが人物であり、二人の絵の対象は際だって対照的である。
展覧会は二人の絵が交互に展示されているので、それがより目立つ。もちろんヴァラドンの風景もあり、二人の静物、花もあるが、ユトリロの人物画は無い。

ユトリロについては、このブログですでに書いた。ヴァラドンについても、少し触れたが、その時ネット画集で見たユトリロの油彩画も、会場で実物を何枚か見ることが出来た。

ユトリロの水彩画 酔彩画!
http://toshiro5.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27

アルコール依存のユトリロの治療に良いのではと、母ヴァラドンが絵画を描かせたエピソードはよく知られているが、息子に絵画の才能があるとは思っていなかったという。
しかも、ユトリロは、母から絵の指導を受けたことはなかったようなので、二人は互いに影響を受けることなく、それぞれが独自の画風を確立した。これは展示作品を見てもよく分かる。

数度の結婚、離婚を経験し、ロートレック、ルノアールらを含めた華麗なる恋愛遍歴をもつ恋多き母と執拗なまでの人間嫌い・ミザントロープ(開高 健)の息子では、同じ様な絵になるはずはない。


さて、ヴァラドンのパステルはネットで4枚見つけた。いずれもスケッチ。 水彩画はなさそうで、見つからなかった。「ユトリロとヴァラドン展」の展示作品にも無かったから、多分描かなかったのだろう。

image-20150605151945.png

「After the bath 風呂上がり」(1908 パステル)
「Mother and Daughter After the Bath II 母娘 風呂のあとで」(1908 パステル)
「The Bath 風呂」(1908パステル)
「Woman Looking at Herself in the Mirror 鏡を見る女性」( 1920 パステル)

ルノアール、ロートレックはヴァラドンを多く描いている。そのうちルノアールの一枚だけを。
「The Braid (Suzana Valadon) 髪結い(シュザンヌ ヴァラドン)」(1884-6 oil )

ヴァラドンの油彩を2枚。
「花瓶の中のリラの花束」(1930 油彩 81×65㎝)展示されていたヴァラドンの静物を一点。
「裸婦の立像と猫」(1919 油彩)展覧会のポスターにも使われたメインヴィジアル。ヴァラドンの絵には猫(トラ)が多く登場する。

展覧会で見たヴァラドンの絵の印象では、一番近いのはロートレックの絵のように見える。どちらも濃く太い線が共通している。ロートレックは貴族、ヴァラドンはサーカスの踊り子、モデルを経て画家になった。ヴァラドンは庶民の出自で環境が大きく異なるが、ロートレックの絵にも強く惹かれ、影響を受けたものと見える。

ヴァラドンはベルト・モリゾ(Berthe Morisot、1841- 1895)、メアリー・カサット(Mary Stevenson Cassatt, 1844- 1926)より少しあとの時代といえ、同じように女性が画家として活躍しにくい時代であったと思われるが、良い絵を後世に残したものだと思う。
しかし、ユトリロを産み育てたこととどちらの功績が大きいのだろうかなどと、妙な比較をしながら展覧会会場のスカートビルを出た。
雨はすっかり上がり、陽が射していた。

ベルト・モリゾの水彩画
http://toshiro5.blog.so-net.ne.jp/2013-09-12

メアリー・カサットとドガの水彩画
http://toshiro5.blog.so-net.ne.jp/2013-10-06

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。