水彩クロッキーのお稽古

「水彩で描く人物クロッキー」というので、面白そうだなと参加した。2時間半の１日講座である。講師の先生は、昨年人物、花、風景（新宿御苑）と三回御教示頂いて、今回で四回目になる。

年明け早々、「初描き」が出来る幸せをあらためて、しみじみとかみしめる。

事前案内には用意するものとして画用紙B3数枚、もしくはF4ないしF6のスケッチブックと書いてある。水彩は透明だろうとは思ったが、万一のため不透明も持った。バッグが重い。
B3画用紙は、カルチャーで売っている。行ってから先生に枚数をうかがうと11ポーズということなので10枚購入。単価31円で本日の画材代310円。
あとスケッチブック（F8ワトソン）の最後の1枚が残っていたので、スパイラルから破いてはずし、丸めて持っていったから丁度良い数になった。

人物はバレリーナのコスチューム。ポーズは５分と10分で、頑張ったご褒美にといって最後に20分が二回だけある。

10年通っていた淡彩スケッチ教室でも、クロッキーはを20回近くやっている。すべて裸婦でクロッキー帳に鉛筆である。クロッキーとはそういうものだと思っていた。
年二回程度では、いっこうに上手くならず、むしろどんどん下手になるのがはっきり分かるのには閉口した。
カルチャーをやめた昨年も一度だけ裸婦のクロッキー講座に行ったが、このときははじめてクロッキー帳のほか水彩用紙に3枚ほど描き家に帰り彩色の練習をした。イマイチだった。

今回参加の動機は、いきなり画用紙に筆で描くのははじめてだが、何となく勉強になるかもしれないと思ったのである。講座をネットで申し込んだあと、ひそかに期待したのである。

ところが、実際にやってみると結果は散々。無惨なできばえ。
モデルを前に、まず線を使うべきか否かを迷う。色をつけてから線を描くのか。その逆か。
乾く前に塗って滲んだりする。乾くまでと、バックを塗ったりしていると時間がどんどんたってしまう。
白抜きをしたり、ネガティヴペインティングも試みるがうまくいかぬ。白いストッキングは何色を塗れば良いのか。黒い線を使うべきか。絵の具は最初から溶いでおくのか。赤青黄の三色を混ぜてグレイを使いたいが、時間が足りなくなる。ー混乱。

先生は後ろで描いておられるが、会場が狭くイーゼルが邪魔して人もいるので、描いておられるところを見ることができない。百の説明よりデモンストレーションなのに。たしか案内書に講師のデモも必見とあったのに。とごまめの歯ぎしり。やつあたり気味。

ポーズの合間に見ると、先生は、F6ほどのクロッキー帳に水彩で描いておられた。画用紙と違ってあまり滲まないとおっしゃる。それならそうと事前に教えてくだされば、家にクロッキー帳がたくさん残っていたのにと悔やんでも遅い。
先生は描かれた絵を数枚黒板に掲示されたが、思ったより線を多用しておられたのは、ちょっと意外だった。しかも使っている色は少ない。2、3色か。せっかく薄い緑色のスカートがあるのに無視。バックは殆ど描かない。クロッキーだから当然か。しかし、折角の水彩クロッキーなのに、という感じもしないではない。
自分は色にこだわり、プロポーションがめちゃくちゃになっている。何が大事なのか見失っているといわれても仕方ない。B3は少し大きかったかも。もっとも、先生は1枚に幾つかのポーズを描いても良い、と言われたが。

うかがうと使う筆はもちろん１本だけ。走って線の描きやすい短いラファエル（羽管か）。自分が使ったのは丸筆の長いもの。あわてて先生と同じ筆に替えて見た。この2本は、クロッキーの場合かなり描き具合がちがう。

始まる前に絵の具は透明か不透明かとお尋ねすると、不透明でも可、とのことなので途中で一枚だけ試した。違いはよくわからなかった。

どうも自分は、「鉛筆下書きなしの水彩画」と「水彩クロッキー」を一緒にして考えていたようだ。
クロッキーは素早く対象をとらえるための練習、鉛筆の線にとらわれないために、直接筆を使う。しかし、筆で線をはじめに描いてから色をつけたら、鉛筆クロッキーとさほど差は無いように思うがどうなのか。かといって色をつけてから線で稜線（境界線）を描いても今度は色に引きずられるようにも感じられる。

こんな具合で、初めての水彩クロッキーは何やら不完全燃焼気味、中途半端で終わったが、今度はクロッキー帳でリベンジしてみなければなるまい。

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