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オノレ・ドーミエの水彩画1 [絵]


オノレ・ドーミエ(Honoré-Victorin Daumier, 1808- 1879 )は、19世紀のフランスの画家。マルセーユに生まれた。
ドーミエは、生前は風刺版画家として知られるが、油彩画家としても高く評価されロートレック、ゴッホをはじめ、印象派などの多くの画家に影響を与えたという。どんな油彩を描いたのか、水彩はあるのかが関心。

ドーミエは雑誌「カリカチュア、シャリヴァリ(編集長シャルル・フィリポン)」に、時の権力を痛烈に批判した政治風刺画を次々発表し、投獄される。その後主題をパリ市民の風俗に変更する。
同世代の人々からは理解されず、晩年失明し惨めな生涯を閉じたと伝わるが、その時代の多くの詩人、小説家など画家以外の芸術家達からは賞賛されたという。親友のコローが買ってくれた(と伝わる)セーヌ・エ・オワーズ県のヴァルモンドワの家で、1879年、71歳でその一貫して名利を求めぬ生涯を閉じた。
異才、鬼才の画家の印象がつよいが、しばしば同じ風刺画家のJ・J・グランヴィル(1803-47)と比較されて論じられる。どちらも辛辣なことに変わりがないが、ドーミエのほうがグランヴィルよりも、どこか温もりがあるというのが一般的のよう。
多作であった彼は、生涯に500以上のタブロー、4000のリトグラフ、1000の木彫(木版画?)、1000のドローイングを残したという。このドローイングの中には、油彩のほか水彩画もある。

また彫刻もあり、ブロンズのほか、 1880年代さかんに作った粘土胸像 (painted clay bust彩色テラコッタか。)が知られている。

ドーミエの水彩は意外に多い。生き生きした動きと表情豊かな人物が特徴であるが、色調は概して暗い。鮮やかな色をあまり使っていない。(以下wは水彩、gはガッシュ、oは油彩、cはクレヨンの略号)

image-20160625142226.png

「Orchestra Seat オーケストラ席 」(1856 w )
「Two Drinkers 二人の酔っ払い 」(1857-69 w g)議論の中身は別として、顔は真剣。
「A Famous Motive 有名な動機 」(1862-65 g crayon )法廷で二人 が叫ぶ。大げさなしぐさが、かえってたいした論理を展開していないように見えて可笑しい。motiveは理由 、本意 、下心などの意味もあるが単純に「動機」ではなさそう。
「A Lawyer and his Client 法律家とクライアント 」(1862 c w )依頼人「大丈夫でしょうか」、弁護士「心配しなさんな」といったところか。
「Two Lawyers 二人の法律家 」(1862 w )ほとんどモノトーン。すれ違う検事と弁護士か。ドラマだ。
「A Theatre Audience 劇場の聴衆 」(1863-65 g w)立ち見の紳士も。一つ空席が。
「Le Départ du train 汽車の出発」(1862-64. Black chalk, pen and ink, wash, conte crayon, watercolor, and gouache )15.0 x 25.5cm。出発前のホームの人々の表情を何ともうまく捉え、再現していることか。写真も顔負け。宮崎駿風アニメの1シーンのよう!
画材が線も色彩も多く使うミックス。彩度は抑えられているのが特徴。
「The Omnibus 乗り合いバス 」(1864 c w )ドーミエはパリ市民を弱い者の側から描いている。温かい眼だ。裁判所の法律家たちを冷ややかに描いているのは、経験からであろう。

次回は水彩のほか油彩画なども。

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