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気配りボスの偲ぶ会    [随想]


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世の中には凡夫の自分などには、到底及びもつかぬ傑出した人、器の大きな人がいるものである。
例えば自分が組織に属してサラリーマンとして仕えた上司、直接の部下だったことはないので正確に言えば上司の上司だった方はまさしくそんな人である。

残念ながら平成25年(2013)暮れに亡くなられ、翌年明けに偲ぶ会が開かれた。もうあれから三年になる。

自分が謦咳に接したのは氏が組織のトップとして在任した平成3年(1991)から平成12年(2000)の間10年弱になる。  
近くで見たその言動は、若い人を育てることを第一に考えていたように思う。
大物は清濁併せてというが、濁は決して飲まず、片や清酒を愛した。勲章などを毛嫌いし、権力を持ちながら分け隔てせず人と接しておられた。  
宴会では、客人をよそに仲居さんと何やら熱心に議論したりしていた。愛犬のために膳の残り肉を紙に包んでポケットに入れて、見つかると照れ笑いをされながら言い訳をした。  気くばりのひとという揶揄めいたあだ名は、接する人のことを真に思う立ち居振る舞いから付いたもので、本人は意にも介していなかったのではと思う。 死すれば人は急に大人物になったりするが、この人は生前からまさしくそうであった。  
お別れ会の前夜、東京に降った雪がたいしたことがなく、朝晴れたのは、帝国ホテルに集まる大勢の老人への天上からの気くばりに違いない。
氏は昭和2年(1927)大阪生まれ。86歳没。

  寒明けや気くばりボスのお別れ会    杜 詩郎
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